システムサポートは高値に接近、20年6月期業績予想を上方修正

日インタビュ新聞ロゴ

 システムサポート<4396>(東1)は、データベース関連・クラウド関連・ERP関連のソリューション事業を主力としている。20年6月期第3四半期累計は大幅増収増益だった。そして通期業績予想を上方修正した。新型コロナウイルスによる業績への直接的な影響は限定的だろう。収益拡大を期待したい。株価は2月の上場来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお20年6月1日付で1株を2株に分割する。

■ソリューション事業が主力

 データベース関連・クラウド関連・ERP関連サービスなどのソリューション事業を主力として、データセンターサービスやシステム保守・運用などのアウトソーシング事業、パッケージソフト開発・販売などのプロダクト事業も展開している。

 19年6月期のセグメント別(連結調整前)売上構成比は、ソリューション事業が82%、アウトソーシング事業が13%、プロダクト事業が4%、その他が1%、営業利益構成比はソリューション事業が73%、アウトソーシング事業が17%、プロダクト事業が9%、その他が1%だった。

 主力のソリューション事業は、Oracleデータベースの設計・構築・保守・運用などのデータベース関連サービス、AWSやAzureの基盤構築・導入・移行支援などのクラウド関連サービス、SAPの導入・保守・運用などのERP関連サービス、およびITシステム開発を展開している。

 収益力向上に向けてストック収益のプライベート型クラウドサービスを拡大するため、地震の少ない金沢市にデータセンターを設置し、プロダクト事業では自社開発の統合型基幹システム「役者」シリーズの拡販を推進している。また米国シリコンバレーに子会社を設立し、最先端のIT技術・サービスの発掘に努めている。

■データベース領域やクラウド領域での高い技術力が強み

 データベース領域やクラウド領域での高い技術力を強みとしている。

 データベース領域では、Oracleデータベース技術者に対する最高峰の認定資格ORACLE MASTER Platinum保有者数が国内累計3位、単年2位(18年8月時点)である。また19年度のORACLE Cloud Platform(PaaS/IaaS)認定資格取得数が国内1位となり、ORACLE Certification Awardを受賞した。

 クラウド領域では、米アマゾン社のクラウドサービスAWSに関して、AWSコンピテンシープログラムでOracleコンピテンシーを取得している日本企業3社のうちの1社である。さらに、米マイクロソフト社のクラウドサービスAzureに関して、Gold Cloud Platformパートナーに認定されている。

■20年6月期業績予想を上方修正

 20年6月期連結業績予想(5月13日に上方修正)は、売上高が19年6月期比12.3%増の132億09百万円、営業利益が33.1%増の7億05百万円、経常利益が31.1%増の6億60百万円、純利益が17.1%増の4億04百万円としている。配当予想(2月12日には14円増額修正)は20円(20年6月1日付株式2分割後の表示は10円、期末一括)としている。株式2分割前に換算して比較すると19年6月期の3円に対して17円増配となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比19.1%増の100億13百万円、営業利益が50.9%増の6億93百万円、経常利益が48.7%増の6億56百万円、純利益が39.2%増の4億03百万円だった。クラウドサービス利用支援分野を中心に受注が拡大し、生産性向上による原価率改善なども寄与して大幅増益だった。なお特別損失にアウトソーシングセンタービルに係る減損損失を計上した。

 ソリューション事業は20.8%増収で24.0%増益だった。物流業の基幹システム更新案件、消費税率改正に伴う機器・ライセンス販売に加えて、各種クラウドサービス利用支援分野の受注拡大が寄与した。

 アウトソーシング事業は10.4%増収で4.4%増益だった。データ入力・分析業務における前期高利益率案件の反動があったが、AI関連サービスを含めたデータセンター業務が堅調だった。

 プロダクト事業は19.2%増収で25.9%増益だった。建て役者(住宅業向け工事情報管理システム)およびMOS(小売業向けモバイル受発注システム)が拡大し、ライセンス・保守の積み上げも寄与した。特に建て役者の高利益率カスタマイズ案件が利益を押し上げた。

 新型コロナウイルスについては、プロダクト事業で展示会中止による新規リード顧客減少が見込まれるとしているが、業績への直接的な影響は限定的だろう。収益拡大を期待したい。

■株価は高値に接近

 株価(1株当たり数値は20年6月1日付株式2分割前)は2月の上場来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。5月12日の終値は3045円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS69円80銭で算出)は約44倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS392円75銭で算出)は約7.8倍、時価総額は約153億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る