加賀電子は配当落ち分の理論株価を上回り堅調、富士通エレの利益率改善など改めて注目される

■EMS事業など注目、第1四半期決算の発表後も底堅さが目立つ

加賀電子<8154>(東1)は9月29日、一時2334円(10円高)まで上げる場面があり、後場も2300円前後で推移。8月6日に第1四半期決算を発表して以降の高値に進んで底堅い相場となった。

 29日の株価は9月末の配当権利落ち日のため、理論上は9月中間配当の予想額(30円)分だけ安くても前日と同水準になる計算。これを考慮すれば、実質的には20円高前後で推移していることになる。

 第1四半期の連結業績(2020年4~6月)は売上高が前年同期比23%減となったが、営業利益は同10%減にとどまり、四半期純利益は「負ののれん発生益」の上乗せがあり同6.4倍になった。同時に、未定だった今3月期・通期の連結業績予想も発表し、売上高は前期比9.8%減の4000億円、営業利益は同50.1%減の50億円、当期純利益は同7.09%増の100億円。

 第1四半期での進捗率は、営業利益が33%、経常利益は34%になり、通期の業績予想には保守的な印象がある。

 発表後の株価は、翌8月7日の2043円、9月1日の2027円(いずれも取引時間中の安値)を下値として出直り、直近にかけて回復基調を続けている。決算発表後という限定的な見方だが、底入れ反転のシグナルとされる「ダブルボトム」「二点底」を形成した格好になり、決算発表後の相場トレンドが固まったといえる展開になった。

■EMS事業を中心とするグループ全体のシナジー効果にも期待が

 同社は、医療機器、車載関連向けのEMS(製品の開発・生産受託サービス)事業を積極推進しており、19年1月に富士通エレクトロニクスを連結子会社に迎え、車載機器向けなどの新たな事業基盤が加わった。同年10月には、旧・十和田パイオニア株式会社がグループ入りし、加賀EMS十和田株式会社として活動を開始した。同月には福島県で新工場が稼働を開始し、12月にはタイで第2工場も稼働を開始した。

 20年に入ると、エレクトロニクス商社のエクセル(3月末に上場廃止)を完全子会社化し、8月には旭東電気(民事再生中)のスポンサーとなった。旭東電気には鳥取事業所があり、海外には「旭東ベトナム」がある。

 第1四半期決算では、連結業績に通期寄与し始めた富士通エレクトロニクスの粗利率改善(6.3%から8.0%)なども注目された。中期的には、EMS事業を中心とするグループ全体のシナジー効果による利益率向上も期待される。(HC)

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