【注目銘柄】旭化成はバイデン関連人気を業績の上方修正がサポートして4連騰

注目銘柄

 旭化成<3407>(東1)は、前日11日に25.6円高の988.6円と4営業日続伸して引け、取引時間中には997.4円と買われて1000円大台目前まで迫り、1月7日につけた年初来高値1226円を視界に捉えた。米国の大統領選挙で当選確実となったバイデン前副大統領が、温暖化防止の国際的な取り組み「パリ協定」に復帰することを表明しており、環境対応の電気自動車(EV)市場の高成長が見込まれるとして、EV向けリチウムイオン二次電池(LIB)用セパレータで世界トップにある同社株に関連株買いが増勢となった。今年11月6日に今2021年3月期の営業利益を上方修正し市場コンセンサスを上回ったことも、サポート材料となっている。

■LIBセパレータの増強が続き今期業績は市場コンセンサス上回る

 同社はLIB用セパレータで世界トップにあるが、2015年2月に同セパレータで世界3位のポリポア社を約22億ドルで買収し、世界第1位を不動のものとした。とくにポリポア社は、車載向けLIB用セパレータに強みと高実績を持っており、買収後はその米国工場と国内工場ともども成長投資を続け、LIBメーカーに積極的な販売攻勢を掛けている。バイデン前副大統領が、来年1月の大統領就任早々に「パリ協定」への復帰を表明しているだけに、米国市場でのEV拡大は必至であり、LIB用セパレータが、業績再成長のエンジンになる見込みである。

 一方、今2021年3月期業績は、第2四半期(2020年4月~9月期、2Q)累計業績が、今年8月の予想値を上ぶれ連続減益率を縮小させて着地するとともに、3月期通期予想も開示し、このうち通期営業利益を今年8月の予想値から上方修正した。営業利益は、今年8月にレンジ予想で1200億円~1300億円としていたが、1400億円(前期比21.6%減)とした。2Q累計業績が、自動車市場の復調と住宅の引き渡しが想定を上回って上ぶれ着地したためで、経常利益も1420億円(同22.8%減)、純利益を870億円(同16.3%減)と初開示し、いずれも市場コンセンサスを上回った。なお未定としていた今期配当は、年間34円(前期実績34円)を予定している。

■ミニGC示現で上昇転換し低PER・PBR修正で年初来高値奪回

 株価は、年初来高値1226円から前期業績の下方修正とコロナ・ショック安の直撃で年初来安値606.1円へ突っ込み、売られ過ぎ訂正と人工呼吸器へのコロナ関連株買い、さらに今3月期予想業績の開示などが加わって900円台までリバウンドし、25日移動平均線を固める動きが続いた。バイデン前副大統領の当選確実では945.3円高値をつけ、その直後の調整安値からは今期業績の上方修正で997.4円高値まで買い進まれた。この間、5日移動平均線が25日線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を鮮明化した。PERは15倍台、PBRは0.99倍、配当利回りは3.43%と割り負けており、年初来高値1226円奪回に弾みをつけよう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  2. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…
  3. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  4. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …
  5. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  6. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る