【村山貢司の気象&経済歳時記】新幹線の混雑と生産人口の減少に思う

村山貢司の気象&経済歳時記 新幹線が混んでいる。5月下旬に大阪と名古屋で講演があり、新幹線を利用したが大阪は往復とも指定席は満席、名古屋の往復もほぼ満席であった。

これまで株価だけが上昇しているような景気回復であったが、人が多く動くようになると本格的な景気の回復感が出てくる。しかし、新幹線が混んでいる理由の一つに外国人の乗車が多いというのもある。

2015年の訪日外国人数は1月から4月の累計でおよそ590万人、すでに14年の44%にもなっており、このまま推移すれば年内に1500万人を超えることは確実であろう。4月までの月平均は147万人、前年比の平均は44%増である。日本での滞在期間を平均1週間とすれば、平均して日本人口が36万人増加したのと同じ効果がある。

総務省の統計によれば2014年の国内の人口は21万5千人減少しているが、これを上回る人数が日本に来ているということになる。訪日外国人は国内での宿泊、買い物など消費増大に大きな役割を果たしているが、問題は将来的な労働力不足である。

日銀の黒田総裁もこの件には憂慮を示している。14年における15歳から64歳の生産年齢人口は116万減少し、人口の61%にまで落ち込んでいる。一方、65歳以上は26%に増加し、少子高齢化に拍車がかかっている。少子高齢化対策はこれまでの縦割り行政では解決が難しく、政府主導で迅速に進める必要がある。

一つは女性の労働力確保のための制度で、フランスのようにゼロ歳から確実に保育が保障されるシステムを作ることである。一方で、高齢者の労働力を活用するために当面70歳までの雇用を安定化させる必要がある。70歳までを労働人口に組み入れれば年金の多少の減額も可能になるだろう。人が家庭から外に働きに出れば必ず国内の消費が増加するはずである。(気象予報士・経済評論家・村山貢司)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る