生化学工業は22年3月期大幅営業・経常増益予想で増配・自己株式取得

(決算速報)
 生化学工業<4548>(東1)は5月13日の取引時間終了後に21年3月期連結業績を発表した。新型コロナウイルス影響や研究開発費増加などで営業・経常減益だったが、従来予想に対して減益幅が縮小した。当期純利益は特別損失が一巡して黒字化した。配当も上方修正した。22年3月期は大幅営業・経常増益予想、増配予想としている。自己株式取得(上限20万株)も発表した。株価は安値圏だが、大幅営業・経常増益予想を評価して出直りを期待したい。

■21年3月期は営業・経常減益、22年3月期は大幅営業・経常増益予想

 21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比3.4%減の276億62百万円、営業利益が21.9%減の15億30百万円、経常利益が24.0%減の30億24百万円、親会社株主帰属当期純利益が42億62百万円の黒字(20年3月期は108億39百万円の赤字)だった。配当は期末4円上方修正(新製品ジョイクル承認記念配当4円)して、20年3月期比2円減配の24円(第2四半期末10円、期末14円)とした。

 新型コロナウイルスによる外来受診の減少、国内の薬価引き下げ、研究開発費の増加などで減収、営業・経常減益だったが、従来予想に対して減益幅が縮小(4月27日に上方修正)した。研究開発費の増加(4.8%増加)が想定を下回り、営業外収益での為替差損益が想定よりも改善した。当期純利益は前期計上の減損損失135億24百万円が一巡して黒字化した。

 医薬品事業は6.5%減収だった。医薬品原体・医薬品受託製造が81.0%増収と伸長したが、国内医薬品が12.1%減収、海外医薬品が8.2%減収だった。LAL事業は新型コロナウイルスの影響が限定的で7.2%増収と堅調だった。

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)である。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティー(22年3月期から売上高に表示区分変更し、前期比6.0倍の43億円計上の計画)の増加、新製品ジョイクルの発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。利益面は研究開発費が増加(9.6%増の計画)するが、増収効果で大幅営業・経常増益予想としている。収益拡大を期待したい。当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

 なお自己株式取得を発表した。上限20万株・2億40百万円で、取得期間は21年7月1日~21年8月12日としている。

■株価は出直り期待

 株価は上値を切り下げて安値圏だが、大幅営業・経常増益予想を評価して出直りを期待したい。5月13日の終値は986円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円68銭で算出)は約15倍、時価総額は約560億円である。

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