【どう見るこの相場】「短期は需給」の揺り戻しで外れMSCI銘柄はリベンジ高にチャレンジ!?

どう見るこの相場

 「短期は需給、長期はファンダメンタルズ(基礎的諸条件)」という。株価形成セオリーのことである。需給関係は、誰が買うのか誰が売るのか、なぜ買うのかなぜ売るの売りが多いのか買いが多いのかによって株価が上下にブレ、投資家にとってはまさにマーケットに「神の手」が動いたようなサプライズを感じさせることもある。

 この需給イベントは、このところマーケットにアゲインストに作用した。その一つが、今年5月27日大引け値で反映されたMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)スタンダード・インデックスの定期銘柄入れ替えであった。日本株は、新規採用がゼロで除外が29銘柄にものぼり、リプレースの売り需要が約6000億円も発生するとして、日経平均株価は、発表日の5月12日に461円安と急落、翌日には一時2万8000円台を割った。ただ5月28日には600円高と急反発して無事にイベント通過とはなった。

 一方、ファンダメンタルズはどうか?日本2021年の経済成長率は、OECD(経済協力開発機構)の世界経済見通しで唯一、0・1%下方修正されたが、2.6%成長とプラスを維持し、企業業績は、好不調が分かれるK字型ではあるものの、株価が1万円大台寸前に迫り時価総額が30兆円を超えたトヨタ自動車<7203>(東1)に代表されるように好調企業が目立つ。しかも、前週末4日の米国市場では、5月の雇用統計で非農業部門の雇用者の増加が市場予想を下回って、長期金利が低下し、ハイテク株などの高PER株が大きく上げており、週明けはトヨタなどの景気敏感株のほか半導体関連などの値がさハイテク株にも買いが入り、ジャンプアップしてスタートする可能性が強い。

 ただ今週も、需給イベントが控えている。まず11日のメジャーSQ(特別清算指数)算出である。相場アノマリーでは、「魔の水曜日」とも恐れられ、金曜日の算出日を前に株価が乱高下する可能性もあり、需給イベントとして目が離せない。それでなくても6月は、政治日程が目白押しなのである。6月9日の国会での党首討論、6月16日の今通常国会の会期末、6月20日は、緊急事態宣言の解除期限に当たり、解除か再延長か、またこの時に判断されるとみられる東京五輪・パラリンピックの開催・中止、開催方法などについて菅偉義首相と政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長の間でバトルに発展する雲行きである。さらに7月4日投開票の東京都都議会選挙も、6月25日に告示される予定で、こうした政治スケジュールがすべて11日のSQ算出に反映されるとも観測されている。

 弱材料を無理やり引っ張り出し慎重方向にミスリードするようで気が滅入るが、今週の当特集では、そんなこんなを「短期は需給」で早めに下方方向に織り込んだとみられるMSCI指数の除外29銘柄の揺り戻しに期待してリベンジ投資に注目することにした。29銘柄の多くは、除外発表の5月12日に反落したが、前週末4日の終値と5月11日終値を比較すると、値上がり銘柄が13銘柄、値下がり銘柄が16銘柄の「13勝16敗」となった。勝ち組銘柄の代表は、20%超上昇した西武ホールディングス<9024>(東1)で、負け組ではしまむら<8227>(東1)、アルフレッサ ホールディングス<2784>(東1)が逆に年初来安値を更新した。

 今回と同様に大量除外銘柄が出た2020年11月のMSCI指数定期見直しで除外されたパーク24<4666>(東1)や住友ゴム工業<5110>(東1)などの株価が、前週末4日に年初来高値を更新、除外発表前日の終値から約7カ月で2倍化、50%超高しており、この再現のリベンジ高を期待したいところである。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■離職率低下と顧客満足向上を実証、省人化潮流に逆行する人材重視戦略  「丸亀製麺」主力のトリドール…
  2. ■ビーム整形と出力平準化技術を融合し大気揺らぎを克服  NTT<9432>(東証プライム)と三菱重…
  3. ■航続距離650キロを実現、日野が新型FCV大型トラック投入  日野自動車<7205>(東証プライ…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  2. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  3. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  4. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…
  5. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  6. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る