【注目銘柄】デンカは感染爆発止まらず変異株診断キットをテコにリバウンド余地

注目銘柄

■感染爆発あ「ウイズ・コロナ」関連株人気を押し上げる

 デンカ<4061>(東1)は、今年8月6日に今2022年3月期第1四半期決算の発表時に今期第2四半期(2021年4月~9月期、2Q)累計業績を上方修正したものの、3月期通期業績は期初予想の据え置きとしたことが響いて25日移動平均線を出没する高値もみ合いを続けてきた。ただ上方修正された2Q累計業績はV字回復し、同日発表の政府への新型コロナウイルスの変異株(デルタ株)の抗原迅速診断キットを見直し通期業績据え置きは織り込み済みとして割り負け修正買いが再燃する展開も想定される。前日18日の東京都の新規感染者が5386人と過去2番目、大阪府が2296人、全国でも2万396人と過去最多となり、感染爆発に歯止めが掛かっていないことも、「ウイズ・コロナ」関連株人気を押し上げると想定される。

■迅速診断キットとスペシャリティ製品の好調持続が業績押し上げ

 新型コロナウイルス感染症の東京都の新規感染者は、東京五輪中から拡大し続け、政府は4回目の緊急事態宣言を発出したが、8月13日には過去最高の5773人に悪化、感染爆発に歯止めがかかっていない。このなかでデンカは、昨年8月に新型コロナウイルスの迅速診断キットの製造販売承認を取得して発売して米国向けにも供給し、さらにこれに変異株ウイルス10種類を短時間で検出する迅速診断キットを追加開発するなど感染予防の最前線に立ってきた。8月10日に開示した日本政府向けの供給では、8月6日現在で政府の買い上げ金額は158億円超となった。

 一方、同社の今期2Q累計業績は、期初予想より売り上げが100億円、営業利益、経常利益が30億円、純利益が20億円それぞれ引き上げられ売り上げ1850億円(前年同期比15.4%増)、営業利益220億円(同82.3%増)、経常利益200億円(同62.7%増)、純利益150億円(同49.9%増)と大幅増収増益転換する。電子・先端プロダクツ部門では電気自動車、半導体、5G通信、再生エネルギー向けが好調に推移し、ライフイノベーション部門では、昨年8月発売の新型コロナウイルスの抗原迅速診断キットや変異株検出システムや試薬が大きく伸びていることなどが要因となる。

 2022年3月期業績は、第3四半期以降の半導体関連のスペシャリティ製品の伸張や新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況について見通しを精査している段階として期初予想を据え置いた。それでも売り上げ3650億円(前期比3.0%増)、営業利益420億円(同20.9%増)、経常利益390億円(同21.3%増)、純利益290億円(同27.3%増)と見込み、営業利益は連続の過去最高、純利益も、2019年3月期の過去最高(250億4600万円)を3期ぶりに更新する。配当は、年間135円(前期実績125円)へ増配を予定している。

■25日線固めからPER11倍、配当利回3.6%の割り負け修正に再発進

 株価は、昨年11月の前期業績の上方修正をテコに4080円まで700円高し、今年1月8日の第2回目の緊急事態宣言の発出とともに「ウイズ・コロナ」関連株人気を高めて年初来高値4660円まで買い進まれた。同高値からは、今期業績の過去最高更新予想も市場コンセンサスを下回るとして材料出尽くし感で年初来安値3575円へ大きく調整した。同安値からは、今期2Q累計業績の上方修正に証券会社の目標株価引き上げも加わって3935円までリバウンドしたものの、3月期通期業績の据え置きがボディブローとなって伸び切れず25日線を出没するもみ合いとなった。ただPERは11倍台、PBRは1.20倍、配当利回りは3.60%と割り負けており、25日線固めから4000円大台を回復し年初来高値4660円を奪回する展開も想定される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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