川崎近海汽船は22年3月期2Q累計大幅増益、通期予想は2回目の上方修正

(決算速報)
川崎近海汽船<9179>(東2)は10月29日の取引時間中に22年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。近海部門の市況上昇などで従来予想を上回る増収・大幅増益となり、通期予想を上方修正(7月30日に続いて2回目)した。さらに3回目の上振れの可能性がありそうだ。株価は9月の年初来高値圏から反落して上値を切り下げる形だ。上方修正に対する反応は限定的だったが、利益確定売り一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■22年3月期2Q累計は想定超の大幅増益、通期予想は2回目の上方修正

 22年3月期第2四半期累計の連結業績は、前年同期比で売上高が10.9%増の201億30百万円、営業利益が3.1倍の7億28百万円、経常利益が5.5倍の7億27百万円、親会社株主帰属四半期純利益が16.6%増の5億39百万円だった。なお特別利益で前年計上の固定資産売却益3億69百万円が剥落した。

 近海部門の市況上昇などで従来予想を上回る増収・大幅増益だった。従来予想に対して売上高は3億30百万円、営業利益は5億78百万円、経常利益は5億77百万円、親会社株主帰属四半期純利益は3億99百万円、それぞれ上回った。

 近海部門は売上高が33.7%増の57億75百万円で営業利益が5億81百万円(前年同期は89百万円の赤字)、内航部門は売上高が5.8%増の138億35百万円で営業利益が9.5%減の5億01百万円、OSV部門は売上高が31.5%減の5億17百万円で営業利益が3億54百万円の赤字(同2億29百万円の赤字)だった。

 近海部門は、市況上昇で運賃収入や貸船料が想定以上に増加したことに加えて、ロシア炭輸送の積地のロシアにおける滞船影響で船隊稼働率が低下して燃料消費量が減少したことも寄与した。内航部門は入渠費が減少したものの燃料油価格高騰の影響で減益だった。ただし売上面は、コロナ禍でも定期船輸送・不定期船輸送とも荷動きが堅調に推移し、フェリー輸送の旅客数や乗用車数も増加した。OSV部門は海洋調査業務が大幅に減少した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が95億15百万円で営業利益が1億24百万円の赤字、第2四半期は売上高が106億15百万円で営業利益が8億52百万円だった。季節要因として第1四半期は入渠費用が増える傾向がある。

 第2四半期累計が従来予想を上回ったことを受けて、通期連結業績予想を上方修正(売上高を15億50百万円、営業利益を5億50百万円、経常利益を5億円、親会社株主帰属当期純利益を3億40百万円、それぞれ上方修正)した。7月30日に続いて2回目の上方修正である。

 修正後の通期連結業績予想は売上高が21年3月期比13.3%増の420億円、営業利益が3.5倍の14億円、経常利益が7.2倍の13億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が9億50百万円(21年3月期は1億12百万円の赤字)としている。配当予想は据え置いて21年3月期と同額の100円(第2四半期末50円、期末50円)としている。

 OSV部門は海洋調査業務の遅れで稼働率が低下するため従来予想を下回るが、近海部門の市況上昇が第3四半期以降も継続し、内航部門も荷動きが堅調に推移して収支が従来予想を上回る見込みとしている。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.9%、営業利益が52.0%、経常利益が53.9%、純利益が56.7%となる。単純計算すると各利益の通期の上方修正幅は上期の超過分を上乗せした形であり、運賃市況動向などを勘案すれば通期予想はさらに3回目の上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は9月の年初来高値圏から反落して上値を切り下げる形だ。上方修正に対する反応は限定的だったが、利益確定売り一巡して戻りを試す展開を期待したい。10月29日の終値は2907円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS323円63銭で算出)は約9倍、時価総額は約86億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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