テンポイノベーションは「プライム市場」を申請、まずは業績向上によって時価総額の上昇を図る

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■店舗転貸借事業の市場開拓余地大きく収益はサブスク・ストック型

 テンポイノベーション<3484>(東1)は12月15日の15時30分、2022年4月に予定される東京証券取引所の市場区分見直しに関して、同日開催の取締役会で「プライム市場」を選択することを決議し、申請書を提出したと発表した。

 また、移行基準日時点(2021年6月30日)において、当該市場の上場維持基準のうち「流通株式時価総額」について基準を充たしていないことから、上場維持基準の適合に向けた計画書を提出し、各種取組を進めていくとした。まずは、継続的な業績向上の実現によって時価総額の上昇を図り、その後、必要に応じて流通株式比率の向上に向けた取組を検討・実施する。

■上場維持基準の適合に向けた取組の基本方針、課題及び取組内容

【適合に向けた取組の基本方針】
 当社の流通株式時価総額は、約52億円(21年11月30日時点株価換算:時価総額146億円×流通株式比率35.4%)であり、新市場区分の上場維持基準に適合しない状況となっている。
 適合に向けた取組方針としては、一般的に(A)時価総額を上昇させる、(B)流通株式比率を向上させる、(C)時価総額を上昇させると共に流通株式比率を向上させる方法があるが、当社の適合に向けた取組の基本方針としては、まずは(1)継続的な業績向上の実現によって時価総額の上昇を図り、その後、必要に応じて(2)流通株式比率の向上に向けた取組を検討・実施することとする。これにより、28年3月期までに流通株式時価総額の上場維持基準適合を図る。

(注・補足より抜粋)当社の主要事業である店舗転貸借事業の市場については、東京23区を中心として取扱い転貸借物件を積み上げており、足元の転貸借物件数は1868件(21年11月30日時点)となっているが、首都圏1都3県における店舗物件の総数約16万件と比べると未だ僅少で、今後の市場開拓余地は長期的に見ても十分にあるものと認識している。

【現状の課題】
適合に向けた現状の課題は、以下の通りとなる。

<時価総額の上昇>
時価総額の構成要素は、株価と上場株式数であるが、株価については(上場企業の価値を市場における株価が常に正しく反映しているとは限らないものの)長期的に見れば、継続的な業績向上が実現した場合、株価も上昇し、時価総額も上昇していくものと認識している。21年11月30日時点の当社の時価総額は146億円。当社主要事業は市場開拓余地が大きく、長期安定的な成長に適した事業環境にあるサブスクリプション(ストック)型ビジネスであるため、継続的な業績向上がしやすい一方、一件一件厳選して仕入れた市場性の高い店舗物件の積み重ねにより、業績が向上していくことから、短期間で急成長することは難しく、それに伴い、株価や時価総額も短期間で急上昇することは想定しにくいという課題がある。

<流通株式比率の向上>
 流通株式時価総額の向上策として、公募増資、第三者割当増資、既存株主による株式の売出し、立会外分売、自己株式の処分等、流通株式比率を向上させる方法もあり、流通株式比率が低い水準に留まる当社において一定以上の規模で実施した場合、流通株式時価総額の効果的な上昇が見込まれる。他方、増資については事業上の必要性の問題もあり、また株式の売出しや立会外分売については、当社として主導的・計画的に進めることは難しい部分があり、不確実性が伴うといった課題がある。

(注・補足より抜粋)店舗転貸借事業において、継続的な業績向上を実現するためには、多くの飲食店が出店を希望する様な市場性の高い居抜き物件を仕入れ続け、転貸借物件数を最大化させることが重要となる。また、店舗転貸借事業は、人的資源が極めて重要となることから、当社の継続的な業績向上には、店舗物件、飲食業界、街、飲食設備、法務といった専門知識とノウハウを身に着けた人材が必要となる。マンパワーが不足しているという課題がある。また、仕入れた店舗物件に対するより効果的なリーシングを実現するため、自社サイト「居抜き店舗.com」を継続的に強化していくことも重要な課題となる。

【具体的な取組の内容】
 適合に向けた具体的な取組の内容は、以下の通りとなる。

<時価総額の上昇>
 店舗転貸借事業において、29年3月期に、首都圏1都3県における当事業の対象店舗数約11万件(推定)の5%(5500件)のシェア獲得を目指し、サブスクリプション(ストック)型収益である賃料差益の最大化を推進することで、継続的な業績向上(目途として、前期比10~20%程度の増収増益を継続)を図っていく。
 また、その状況について法定開示・適時開示に留まらない積極的なIRによって、市場に情報発信をし、株価への反映を促進することで、時価総額の上昇を図りたいと考えている。将来の株価に関する予測は困難だが、上記の継続的な業績向上と、それに伴う中長期的な企業価値向上により、28年3月期に、時価総額を300億円規模とすることにより、直近(2021年9月30日時点)の流通株式比率(35.4%)においても、流通株式時価総額を100億円以上とすることを計画している。

<流通株式比率の向上>
 流通株式比率の向上に向けたテクニカルな施策としては、売出し、立会外分売、新株発行、自己株式処分等がある。上記の通り、流通株式時価総額の上場維持基準適合への取組として、継続的な業績向上によって、時価総額の上昇を図ることを中軸としているが、28年3月期までの期間において、時価総額の上昇が十分でない場合等において、総合的な観点から検討の上、流通株式比率の向上施策について実施することがある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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