【注目銘柄】日本製鉄は業績再上方修正・中間配当増配を手掛かりにバリュー株人気高める

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 日本製鉄<5401>(東1)は12日、13.5円高の2062円と9営業日続伸して引けた。同社株は、今2022年3月期業績を昨年8月、11月と2回上方修正し、純利益の黒字転換幅を拡大し、中間配当も増配したことを手掛かりにバリュー株買いが増勢となった。「2050年カーボン・ニュートラル」を目指し水素活用による直接還元製鉄「ゼロ・カーボンスチール」の開発やEV(電気自動車)向け駆動モーター用高性能電磁鋼板の供給能力増強に取り組んでいることもグリーン成長戦略として側面支援材料視されている。

■粗鋼生産回復に鋼材価格改善がオンして事業利益は統合後最高

 同社の今3月期業績は、昨年8月に1回目の上方修正をされたが、その修正値より売り上げと事業利益を各2000億円、純利益を1500億円引き上げ、売り上げ6兆7000億円(前期比38.7%増)、事業利益8000億円(同7.26倍)、純利益5200億円(前期は324億3200万円の赤字)と大幅続伸を見込み、事業利益は、2014年度の経営統合後の最高となる。新型コロナウイルス感染症の収束、ワクチン接種の進行とともに経済活動が世界的に正常化し、粗鋼生産が回復し鋼材価格も改善、内外のグループ会社の損益が好調に推移することなどが寄与する。中間配当は、未定としていたものを1回目の業績上方修正時に55円と変更したが、さらに70円に増配した。期末配当は、なお未定としているが、今期第3四半期(3Q)決算発表時に開示予定であり、今期業績のさらなる上ぶれがあるかどうかとともに要注目となる。

 なお100%水素による直接還元製鉄は、昨年12月24日にNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「グリーンイノベーション基金」の事業(予算総額1935億円)に採択された。また電磁鋼板は、加速するニーズに対応するため瀬戸内製鉄所広畑地区と九州製鉄所八幡地区の供給能力を2023年上期にフル効果を発揮するよう増強しているが、瀬戸内製鉄所広畑地区の一段の増強も進める。

■PER3倍、PBR0.6倍となお割り負け昨年来高値奪回に弾み

 株価は、昨年8月の1回目の今期業績の上方修正で昨年来高値2381円まで400円超高し、その後の調整安値1870円から11月の2回目の業績上方修正で2120円までリバウンドしたが、「オミクロン型」の感染拡大に伴う全般相場波乱とともに1690.5円安値まで再調整した。同安値からは売られ過ぎとして景気敏感系のバリュー株買いが増勢となり2000円大台を回復してきた。PERは3.62倍、PBRは0.68倍となお割り負けており、今期3Q決算発表を先取りし年初来高値2381円奪回に弾みをつけよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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