【編集長の視点】東証第2部へ市場変更の鳥貴族は続急落も株式分割の権利取りをテコに急騰再現展開も

編集長の視点

鳥貴族<3193>(東2)は、きょう10日にジャスダック市場(スタンダード)から東証第2部へ市場変更され売買がスタートしており、株価は、前日のジャスダック市場の終値に対して610円安の7850円と通算して4日続落している。今年6月22日に市場変更承認とともに、株式分割と新株式発行・株式売り出しの好悪両材料を発表し、前日9日には新株式の払い込みを終了し、公募株式のハネ返りを懸念して目先の利益を確定する売り物が増勢となっている。ただ、下値には引き続き株式分割の権利を取る買い物は続いており、今年1月31日を基準日に実施した前回の株式分割(1対2)後の分割権利落ち埋めを短期間クリアしたことを連想、急騰再現展開も想定される。

■新株式発行では新規出店の成長戦略を加速させ中期1000店体制を目指す

IPO以来2回目となる今回の株式分割は、前回と同様により投資しやすい環境を整えるため投資単位当たりの金額を引き下げ、同社株式の流動性を向上させ投資家層の拡大を図ることを目的にしており、7月31日を基準日に1株を3株に分割する。前回の株式分割では、8020円で分割権利を落とし、落ち後安値3640円から同高値9540円まで2.6倍化し、昨年7月につけた上場来高値9550円にあと10円と迫っており、同様の株価推移を期待して権利取りが続いている。

一方、新株式発行・株式売出しについても、ポジティブ評価が優勢となっている。発行価格7613円で前日に払い込みを終了し、株式売出しと合わせて調達する総額約14億円の資金は全額、計画している13店舗の新規出店投資に充当するためだ。同社は、焼鳥屋「鳥貴族」の外食チェーン店を関西圏・関東圏・東海圏の3商圏で405店舗展開しているが、中期経営計画では、2018年7月までにこれを「3商圏500店舗、売上高250億円」、さらに中期目標では2021年に1000店舗体制とするとしており、この早期達成要因となり、外食産業のなかで伸び悩みが目立つ居酒屋業態のなかでも競争優位性を発揮する。

業績も好調で、今7月期業績は、売り上げ172億6900万円(前期比18.2%増)、経常利益9億円(同8.3%増)、純利益5億円(同22.1%増)と続伸を予想、配当も20円(前期実績10円)と増配を予定している。今年6月に発表した今期第3四半期業績は、7月通期業績に対する利益進捗率が、86~77%と目安の75%を上回っており、上ぶれ着地期待も底流している。

■前回の株式分割では落ち後安値から2.6倍化し短期間に権利落ち埋め

株価は、昨年7月に公開価格2800円でIPOされ、6180円で初値をつけ上場来高値9550円まで買い進まれたあと同安値5650円まで調整したが、株式分割の権利取りで8630円の戻り高値をつけ8020円で権利を落とした。権利落ち後安値3640円から同高値9540円まで短期に2.6倍化、権利落ち埋めとともに実質的に上場来高値を更新した。今回もこの再現が期待されるところで、権利取りに一考余地がありそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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