【編集長の視点】綿半HDは反落も業績上方修正がサポートし下値に株式分割の権利取り

 綿半ホールディングス<3199>(東1)は、前日9日に64円安の2794円と反落して引けた。日経平均株価が、米国株安を受け241円安と急反落したことから、今年9月につけた年初来高値2920円近辺で高値保ち合い中の同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ取引時間中の安値からは36円引き戻して大引けとなっており、下値ではすかさず株式分割の権利を取る買い物が入った。今2021年3月期業績が、上方修正され6期連続の過去最高業績の更新幅を拡大させることも、バリュー株買いをサポートしている。

■創業420周年の記念配当増配に並ぶ積極的な株主還元策

 株式分割は、投資単位当たりの金額を引き下げることにより投資しやすい環境を整え、同社株式の流動性を向上させ投資家層の拡大を図ることを目的にしており、今年9月30日を基準日に1株を2株に分割する。同社株は、2018年3月期にも創業420年記念の増配を実施しており、これに並ぶ積極的な株主還元策となる。

 一方、同社の今3月期通期業績は、早くも今期第1四半期(2020年4月~6月期、1Q)決算発表時の今年7月に上方修正された。期初予想より利益を2億3400万円~3億4900万円引き上げたもので、売り上げ1202億7700万円(前期比0.1%増)、営業利益29億5000万円(同11.9%増)、経常利益32億円(同13.7%増)、純利益18億8500万円(同24.1%増)と増益率を伸ばし6期連続で過去最高を更新し、純利益も、2期ぶりに2019年3月期の過去最高の16億1200万円を上回る。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により巣ごもり需要が活発化し、DIY用品や園芸用品などの高利益率商品が好調に推移し、感染予防のためにチラシ配布を中止し、さらに出張も中止したことで販管費が減少したことなどが寄与した。

 なお今期業績の上方修正は、第2四半期(2020年4月~9月期、2Q)累計業績も同時に行っているが、通期業績の上方修正幅は、この2Q累計業績より小幅にとどまっており、今期下半期の動向次第では、通期業績の再上方修正も期待されている。

■PERは14倍とバリュー株妙味満載で上場来高値も意識

 株価は、年初来安値1193円から「巣ごもり消費」関連株買い、今期業績の6期連続過去最高更新予想などで1900円台まで底上げし、続く今期業績の上方修正で2272円、株式分割で2920円と買い進まれ44%高した。それでもPERは、14倍台とバリュー株妙味を示唆している。年初来高値水準でのスピード調整場面は絶好の株式分割の権利取り場面であり、創業420周年の記念配当増配を好感してつけた上場来高値4875円も意識されよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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