ASIAN STARは底固め完了、22年12月期営業黒字転換予想

 ASIAN STAR(エイシアンスター)<8946>(JQ、新市場区分スタンダード)は国内と中国で不動産関連事業を展開している。成長に向けた重点施策として不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。22年12月期は収益不動産売却などで大幅増収・営業黒字転換予想としている。収益改善基調を期待したい。株価は地合い悪化も影響して安値圏でモミ合う形だが底固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■国内と中国で不動産事業を展開

 国内と中国で不動産関連事業を展開し、上海徳威企業および徳威国際(上海徳威企業の100%子会社)の2社と資本提携している。

 21年12月期のセグメント別売上高構成比は、不動産販売事業が41%、不動産管理事業が22%、不動産賃貸事業が16%、不動産仲介事業が20%、投資事業が0%だった。セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は、不動産販売事業が10%、不動産管理事業が34%、不動産賃貸事業が25%、不動産仲介事業が30%、投資事業が1%だった。

 国内では従来の主力だった投資用マンション開発・販売を縮小し、過去に販売した投資用マンション「グリフィンシリーズ」を中心とする安定収益源の管理・賃貸・仲介、および横浜エリアでの戸建住宅販売にシフトしている。投資事業を行う子会社のASIAN STAR INVESTMENTSは民泊施設運営代行のオールステイへの投資を実行している。

 中国ではベルグラビアグループを買収して、サービスアパート運営管理事業、およびワンルームマンション賃貸事業を展開している。

 20年12月には子会社の柏雅香港が、資本提携先の中国・徳威企業の子会社である徳威不動産グループ3社(徳威不動産、U-HOME、特庫伊投資)を連結子会社化した。中国事業全般の事業管理および資金管理を柏雅香港に集約して中国事業の事業規模拡大を推進する。また20年12月には中国・海南太禾控股集団と戦略提携した。海南省・紅旗国際健康産業タウンプロジェクトを推進する。

 21年2月には、中国・海南太禾控股集団の子会社である中国・海南太禾健康産業と合弁会社設立に向けた契約を締結した。中国・海南太禾控股集団との戦略提携の一環として、紅旗国際健康産業タウンへの日本企業の誘致、日本製先端医療機器・医薬品・サプリメントなどの中国への導入・販売支援等を事業目的とする。

 21年12月には、連結子会社(孫会社)で中国においてワンルームマンション賃貸を行っている陽光智寓(香港)の全株式、および上海陽光智寓の全持分を譲渡し、連結から除外した。今後の中国における賃貸管理事業については、引き続き子会社の柏雅酒店管理(上海)有限公司、上海優宏資産管理有限公司、上海特庫伊投資管理有限公司が行う。

■付加価値創造事業分野のアジア展開も推進

 中期経営計画では目標値に22年12月期売上高50億円、営業利益3億円、EBITDA4億円を掲げている。

 成長に向けた重点施策として、事業戦略では不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、投資戦略では企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。

 付加価値創造事業分野のアジア展開では、新たな事業ドメインとして医療・健康など「日本において高い付加価値を誇る事業分野のアジア展開のサポート」を推進する方針だ。21年9月には、健康コンサルティング会社の中国・広東泛華藍十字健康管理公司と、医療健康サービス分野における戦略提携で覚書を締結した。広東泛華藍十字健康管理公司の親会社である中国・泛華金融ホールディングスグループの顧客に対して、日本の高水準の医療健康サービスを提供する。

 また財務戦略では資本市場を活用した資金調達の検討、財務レバレッジを利用した不動産投資の実施、配当戦略では利益水準に応じた安定的配当の実施、トータル・シェアホルダー・リターン(TSR)等の指標の検討を実施する。なお21年1月には指名・報酬委員会の設置を発表した。コーポレートガバナンスの一層の充実を図る。

■22年12月期営業黒字転換予想で収益改善基調

 21年12月期連結業績は売上高が20年12月期比30.3%増の25億43百万円、営業利益が3百万円の赤字(20年12月期は2億円の赤字)、経常利益が4百万円の黒字(同2億09百万円の赤字)、親会社株主帰属当期純利益が21百万円の赤字(同3億10百万円の赤字)だった。

 国内においてリゾート開発地の販売が完了しなかったこと、その他の不動産販売が計画通りに進捗しなかったこと、中国事業においてコロナ禍の影響で不動産賃貸の稼働率が悪化したこと、政府の不動産取引抑制政策で住宅購入が規制されたことなどで従来予想を下回った。ただし前期比では、新規連結の中国・上海徳威グループ3社も寄与して大幅増収となり、営業赤字が大幅に縮小した。

 セグメント別の利益(全社費用等調整前営業利益)は、不動産販売事業が収益マンション1棟売却などで34百万円(20年12月期はは65百万円の赤字)、不動産管理事業が中国・上海徳威グループ3社の新規連結などで50.7%増の1億11百万円、不動産賃貸事業が収益マンション売却で賃貸料収入が減少して1.3%減の83百万円、不動産仲介事業が中国・上海徳威グループ3社の新規連結などで46.6%増の99百万円だった。投資事業は投資抑制で89.6%減の1百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が5億86百万円で営業利益が0百万円の赤字、第2四半期は売上高が10億47百万円で営業利益が59百万円、第3四半期は売上高が4億89百万円で営業利益が5百万円、第4四半期は売上高が4億21百万円で営業利益が67百万円の赤字だった。

 22年12月期連結業績予想は、売上高が21年12月期比35.2%増の34億39百万円、営業利益が1億10百万円の黒字(21年12月期は3百万円の赤字)、経常利益が1億11百万円の黒字(同4百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が69百万円の黒字(同21百万円の赤字)としている。収益不動産売却などで大幅増収・営業黒字転換予想としている。

 セグメント別売上高の計画は、不動産販売事業が17億57百万円(21年12月期は10億48百万円)、不動産管理事業が5億42百万円(同5億64百万円)、不動産賃貸事業が5億96百万円(同4億11百万円)、不動産仲介事業が4億06百万円(同5億17百万円)、投資事業が1億36百万円(同2百万円)としている。

 不動産販売事業においては戸建開発にとどまらず、土地やマンションの買取再販の件数増加を目指し、収益不動産やその他事業用地売却によって売上・利益の上乗せを図る。なお21年9月に発表した販売用不動産売却(埼玉県三郷市、物流事業用地)については物件引渡・決済日が22年1月以降に後ずれとなり、当該売上計上は22年12月期(21年12月29日付リリース)となっている。中国事業においては、政府による不動産取引抑制施策の緩和を見込み、仲介件数と管理受託件数の増加を図るとしている。収益改善基調を期待したい。

■株主優待制度を新設、毎年6月末・12月末の株主対象

 22年1月に株主優待制度「ASIAN STARプレミアム優待倶楽部」の新設を発表した。毎年6月末および12月末の50単元(5000株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じた優待ポイントで食品や電化製品などの商品に交換できる。22年6月末対象から実施(詳細は会社HP参照)する。

■株価は底固め完了

 株価は地合い悪化も影響して安値圏でモミ合う形だが底固め完了感を強めている。出直りを期待したい。2月22日の終値は79円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円62銭で算出)は約22倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS84円86銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約15億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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