商船三井、台湾大彰化洋上風力発電所向け「アジア初の新造 SOV」が竣工

■台湾最大規模の洋上風力発電所の安定操業へ寄与

 商船三井<9104>(東1)と大統海運(タ・トン・マリン、Ta Tong Marine Co., Ltd.)が両社の合弁会社である大三商航運股份有限公司(タ・サン・シャン・マリン、Ta San Shang Marine Co.,Ltd.)を通じて建造する新造 Service Operation Vessel(サービス・オペレーション・ヴェッセル「SOV」)である”TSS PIONEER(ティーエスエス・パイオニア「本船」)”が、ヴァルド社(本社:ノルウェー、VARD Group A/S)がベトナムに保有するヴァルド・ブンタオ(VARD Vung Tau、VARD傘下の造船所)で2022年3月8日に竣工した。

 アジア初の新造SOVとなる本船は竣工後に台湾に回航され、操業の準備が整い次第、世界最大の洋上風力発電事業者であるオルステッドへ定期貸船される。

 本船の操業開始後はオルステッドが開発する台湾最大規模の洋上風力発電所である大彰化(ダイショウカ、Greater Changhua)洋上風力発電所(900MW)のメンテナンス支援に投入され、風車技師に対して洋上で快適な居住空間を提供する他、本船から安全に風車への橋渡しを行い、大彰化洋上風力発電所の安定操業を通じて台湾が掲げる再生可能エネルギー導入計画の推進に寄与する。

【Service Operation Vessel(SOV)とは・・・】

 洋上風力発電所のメンテナンス技術者を複数の洋上風車に派遣する為に多数の宿泊設備を持ち、一定期間洋上での活動が可能なオフショア支援船。SOVには洋上風車との距離を常時安全に保つため、ダイナミックポジショニングシステム(DPS:自動船位保持機能装置)を搭載する他、洋上風車のプラットフォーム上に風車技師を安全に渡すため、波等による船体動揺を吸収するモーション・コンペイセイション(MotionCompensation)機能をもつ特殊なギャングウェイ(Gangway、人道橋)を搭載する。これらの特殊機器の安全な取り扱いのために資格および一定の訓練を受ける必要がある。

【台湾が掲げる再生可能エネルギー導入計画に関して】

 台湾では、原子力発電から再生可能エネルギーへの転換が進められており、電源構成に占める再生可能エネルギーの割合目標として、2025年20%、2030年30%が掲げられている。その中で、洋上風力発電は台湾の地理的な要因から主たる再生可能エネルギー電源として期待されており、2020年から2025年の間に合計5.6GW分の洋上風力発電所の系統接続許可が発効されている。更に2026年から2035年の間に追加で15GWの洋上風力発電事業が計画されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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