【どう見るこの株】カオナビは底打ちして反発の動き、23年3月期も収益拡大基調

 カオナビ<4435>(東証グロース)は、企業の人材情報を管理するクラウド型タレントマネジメントシステム「カオナビ」を展開している。22年3月期は利用企業数の増加などで大幅増収・黒字転換予想としている。さらに23年3月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は3月の上場来安値圏で底打ちして反発の動きを強めている。基調転換して出直りを期待したい。

■クラウド型タレントマネジメントシステム「カオナビ」を展開

 企業の人材情報をクラウド上で管理し、データ活用のプラットフォームとなるタレントマネジメントシステム「カオナビ」を展開している。業務や手続きの支援ではなく、個人のキャリアや働き方の多様化を支援するプロダクトを目指し、社員の顔写真で直感的に操作できることが特徴だ。タレントマネジメントシステムのリーディング企業で、市場シェアは17年度から4年連続1位(20年度は28.8%)となっている。

 22年3月期第3四半期の利用企業数は前年同期比19.5%増の2348社、ARPUは15.1%増の159千円だった。解約率は概ね0.5%~0.7%の低い水準で推移している。なお月額課金型の収益モデルで売上高ストック比率は80%台で推移している。

 成長戦略として「利用企業数の拡大×ARPUの拡大」を推進し、中期成長のグランドデザインとして25年3月期の売上高100億円、売上総利益率80%、営業利益率30%を描いている。

■22年3月期大幅増収・黒字転換予想、23年3月期も収益拡大基調

 22年3月期の業績予想(非連結、収益認識会計基準適用だが損益への影響軽微)は、売上高が21年3月期比32.0%増の44億90百万円、営業利益が1億47百万円の黒字(21年3月期は11百万円の赤字)、経常利益が1億36百万円の黒字(同16百万円の赤字)、当期純利益が69百万円の黒字(同1億31百万円の赤字)としている。

 2月10日付で売上高を50百万円下方修正、営業利益を47百万円上方修正、経常利益を43百万円上方修正、当期純利益を43百万円上方修正して、大幅増収・黒字転換予想としている。

 初期費用や有償サポートなどから計上されるフロー収益が従来予想を下回るため売上高を下方修正したが、月額利用料から計上されるストック収益が新規顧客獲得と顧客単価上昇で堅調に推移しているため各利益を上方修正した。修正後の通期売上高の計画は、ストック収益が21年3月期比31.4%増の39億30百万円、フロー収益が36.3%増の5億60百万円としている。

 なお第3四半期累計は、売上高が前年同期比31.4%増の32億30百万円、営業利益が2.2倍の2億31百万円、経常利益が2.3倍の2億26百万円、四半期純利益が1億52百万円の黒字(前年同期は8百万円の赤字)だった。収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益とも22百万円減少している。

 第3四半期累計の各利益は修正後の通期予想を超過達成しているが、事業環境の好転を踏まえてマーケティング投資を拡大するため、第4四半期にマーケティング関連費用の大幅増額を計画している。ただし利用企業数の増加などで大幅増収・黒字転換予想としている。さらに23年3月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は底打ちして反発の動き

 株価は地合い悪化も影響した2月~3月の上場来安値圏で底打ちして反発の動きを強めている。基調転換して出直りを期待したい。4月4日の終値は2550円、時価総額は約293億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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