【どう見るこの株】MRTは12月期2Q業績の黒字転換期待を高め低PBR株買いが再燃

どう見るこの株

■ベトナム事業進展で通期上ぶれ期待

 MRT<6034>(東証グロース)は、今年7月25日、8月4日につけた直近安値691円で形成するダブルボトムからの底上げを窺っている。同社株は、前日14日の取引時間終了後に今2025年12月期第2四半期(2025年1月~6月期、2Q)累計決算の発表を予定しており、赤字幅が縮小した今期第1四半期(2025年1月~3月期、1Q)業績に続き黒字転換を期待して先取りの低PBR買いが再燃した。実際に大引け後に発表された今期2Q累計業績は、黒字転換して着地し、今12月期通期予想業績に対して高利益進捗率を示しており、今度は通期業績の上ぶれ期待も高めている。

■医療人材紹介サービスが順調に推移し医療DXプロジェクトも進展

 同社の前日大引け後に発表された今12月期2Q累計業績は、売上収益23億2600万円(前年同期比4.8%増)、営業利益1億3200万円(同37.6%増)、税引前利益1億2700万円(同47.6%増)、純利益7500万円(同2.34倍)で着地し、売上収益は増収転換し、利益はV字回復した。今期1Qの赤字幅1億6100万円~1億600万円からの急浮上である。医療人材紹介サービスでは、常勤・非常勤の医師とも順調に推移し、売上収益が16億8102万円(同2.1%増)となり、自治体向けのオンライン診療業務の堅調な受託、ベトナムでの医療DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトの進展、さらに自治体向けのBPOセンター構築が、今年3月に終了し関連費用が軽減されたことなどが要因となった。

 今12月期通期業績は、期初予想を据え置き売り上げ45億円(前期比8.0%増)、営業利益1億5000万円(前期は1億1900万円の赤字)、税引前利益1億5000万円(同3億3200万円の赤字)、純利益8000万円(同3億900万円の赤字)と見込み、増収・黒字転換する。ただ3Q利益は、12月期通期予想業績に対して84%~93%の進捗率と目安の50%を大きく上回っただけに、期末に向けて業績上ぶれ期待も高まってきそうだ。2023年12月期以来、新型コロナウイルス感染症関連の自治体向けBPO業務の減少が影響した2期連続の減収減益から大きく改善する。

■PBR0.8倍の修正で直近ダブルボトムから底上げし年初来高値目指す

 株価は、前期業績の下方修正を同時発表の自己株式取得でカバーして750円と上値評価されたが、トランプ関税による世界同時株安の相場波乱時に年初来安値600円へツレ安し、同安値からは下げ過ぎ修正にベトナムでの医療DXプロジェクトの相次ぐ進展が加わり年初来高値828円と大きく持ち直し、25日移動平均線が75日移動平均線を下から上にブレークするゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆した。ただ足元では25日線水準で再度下値を確認する動きを続け、直近安値691円のダブルボトムからの底上げを窺っていた。PERは割高なもののPBRは0.88倍と割り負けており、昨年11月に伊藤忠商事<8001>(東証プライム)と資本業務提携した時の第三者割当増資価格798円奪回から年初来高値を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■金融・医療・公共分野に特化した高精度処理、低コストで安全運用可能  NTT<9432>(東証プラ…
  2. ■ジャイアンツ球場隣接の221邸、シニアの健康・交流を支える新拠点に  フージャースホールディング…
  3. ■IT・スタートアップ中心に若手CEO台頭、経営のスピード化が進展  帝国データバンクは10月14…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る