アルコニックスは23年3月期減益予想だが保守的

(決算速報)
アルコニックス<3036>(東証プライム)は5月13日の取引時間中に22年3月期連結業績を発表した。半導体・電子部品関連の需要が高水準に推移して大幅増収増益・増配だった。23年3月期は原材料の供給不足などにより生産・出荷の一時的な落ち込みを想定して減益予想としている。ただし保守的な印象が強い。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお23年3月期を初年度とする中期経営計画を5月中に開示予定としている。株価は23年3月期減益予想を嫌気する形となったが、指標面の割安感は強い。目先的な売り一巡して出直りを期待したい。

■22年3月期大幅増益、23年3月期減益予想だが保守的

22年3月期の連結業績(収益認識会計基準適用で前期比増減率は非記載)は、売上高が1562億86百万円、営業利益が110億20百万円、経常利益が110億09百万円、親会社株主帰属当期純利益が75億07百万円だった。配当は21年3月期比10円増配の52円(第2四半期末24円、期末28円)とした。

収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高と売上原価がそれぞれ1537億33百万円減少しているが、利益への影響はなかった。売上高は21年3月期を新基準に組み替えた数値(1056億87百万円)との比較で47.9%増収、各利益は21年3月期実績値との比較で営業利益が96.0%増益、経常利益が92.5%増益、親会社株主帰属当期純利益が162.4%増益となる。好調な半導体・電子部品および自動車関連需要を取り込んで大幅増収増益だった。

セグメント別利益(経常利益)は、商社流通合計が184.9%増の63億06百万円(電子機能材が172.6%増の42億73百万円、アルミ銅が214.9%増の20億32百万円)で、製造合計が34.4%増の46億95百万円(装置材料が273.6%増の12億45百万円、金属加工が9.2%増の34億49百万円)だった。

電子機能材は電子部品および二次電池材料の好調が継続し、レアメタル・レアアースの自動車関連需要が回復基調となった。アルミ銅は自動車のEV化・軽量化需要などでアルミ圧延品・伸銅品が増加し、チタン・新素材の輸出増加なども寄与した。装置材料は米国および中国の拠点でめっき材料の出荷が大幅に増加し、カーボンブラシが自動車関連の需要増加で業績回復した。金属加工は精密研削加工部品がやや低調だったが、半導体製造装置向け精密切削加工部品が好調に推移した。

四半期別に見ると。第1四半期は売上高369億44百万円、営業利益30億46百万円、経常利益34億87百万円、第2四半期は売上高376億28百万円、営業利益は25億75百万円、経常利益25億73百万円、第3四半期は売上高396億04百万円、営業利益28億09百万円、経常利益27億45百万円、第4四半期は売上高421億10百万円、営業利益25億90百万円、経常利益22億04百万円だった。

23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比8.7%増の1700億円、営業利益が17.4%減の91億円、経常利益が18.3%減の90億円、親会社株主帰属当期純利益が9.4%減の68億円としている。配当予想は22年3月期と同額の52円(第2四半期末26円、期末26円)としている。

なおセグメント別利益(経常利益)の計画は、商社流通合計が36.6%減の40億円(電子機能材が34.5%減の28億円、アルミ銅が41.0%減の12億円)で、製造合計が6.5%増の50億円(装置材料が3.7%減の12億円、金属加工が10.2%増の38億円)としている。

23年3月期は、コロナ過や地政学リスクに起因する物流の混乱、原材料の供給不足などにより生産・出荷の一時的な落ち込みを想定して減益予想としている。ただし保守的な印象が強い。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は目先的な売り一巡

株価は23年3月期減益予想を嫌気する形となったが、指標面の割安感は強い。目先的な売り一巡して出直りを期待したい。5月13日の終値は1265円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS226円14銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の52円で算出)は約4.1%、そして時価総額は約392億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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