【どう見るこの株】村田製作所は蓄電池メーカーとして関心高まるか

 村田製作所<6981>(東証プライム)は6月10日、236円安(2.8%安)の8655円まで下げて続落している。

■7年ぶりの節電要請で蓄電池メーカーが注目

 政府が7日、家庭や企業に対して、今夏の7年ぶりとなる全国規模での節電を要請した。東北・東京・中部のエリアで、予備率が3.1%ギリギリの状況という。蓄電池メーカーに対する関心は高く、折に触れ物色の矛先が向かうと予想する。

 中でも同社は、車載用やスマートフォン用のリチウムイオン電池で世界上位。同社の「All-in-One 蓄電池システム」は、太陽光発電の余剰売電、蓄電池活用による買電節約、非常時の電力供給に対応しており、注目度は高い。

■連続最高益更新、連続増配を予定

 足元の業績は、今2023年3月期売上高1兆9300億円(前期比6.5%増)、営業利益4400億円(同3.8%増)、経常利益4420億円(同2.1%増)、純利益3240億円(同3.1%増)の連続最高益更新を見込む。年間配当は、150円(同20円増)の連続増配を予定している。

 コネクティビティモジュールや高周波モジュールがスマートフォン向けで減少するものの、コンデンサやインダカーエレクトロニクスクタ、EMI除去フィルタがカーエレクトロニクス向けに増加する見通しのほか、リチウムイオン二次電池もパワーツール向けで増加する見通し。

■需給は改善、信用買残は自社株買いで吸収できる範囲

 また、需給面では、1600万株・800億円を上限に5月20日~10月31日自社株買いを実施すると発表済みで、5月末時点で299万0600株・243億6666万9800円買付けている。今後も自社株買いを続けると見られる。信用買残は294万6700(2月18日)から165万8500株(6月3日)と減少し、自社株買いによって吸収できる範囲に需給は改善している。

■9000円どころのフシをクリア出来るかがポイント

 株価は、2021年1月高値10835円、同9月高値10535円のダブルトップを形成した後、本年3月8日年初来安値7008円まで調整を挟んで上昇。26週移動平均線をサポートラインに上値抵抗線の52週移動平均線を突破しているが、9000円どころのフシをクリア出来るかポイントとなりそうだ。(信濃川)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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