【アナリスト水田雅展の銘柄分析】松田産業は調整局面だが下値も限定的、指標面の割安感を見直して反発期待

銘柄分析

 松田産業<7456>(東1)は貴金属リサイクル事業を主力として農林水産品販売事業も展開している。株価は年初来高値圏1500円~1600円近辺でのモミ合い下放れて調整局面だが下値も限定的のようだ。0.7倍近辺の実績PBRなど指標面に割安感があり、調整一巡して反発展開が期待される。

■貴金属リサイクルや農林水産品販売を展開

 貴金属リサイクルを主力とする貴金属関連事業、および農林水産品を扱う食品関連事業を展開している。貴金属関連事業では「東アジアNO.1リファイナー」を目指し、国内外の拠点拡充、貴金属原料の確保と化成品などの製品販売強化、および製品・技術開発強化を推進している。

 海外は貴金属関連事業で中国、台湾、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナムに展開し、ベトナムでは貴金属製錬工場の建設を進めている。食品関連事業は中国、タイに拠点展開している。

■16年3月期会社予想は営業利益横ばいだが、保守的な印象で増額余地

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)429億40百万円、第2四半期(7月~9月)446億83百万円、第3四半期(10月~12月)469億16百万円、第4四半期(1月~3月)449億84百万円、営業利益は第1四半期9億31百万円、第2四半期10億79百万円、第3四半期16億86百万円、第4四半期17億14百万円だった。半導体・電子部品業界の生産回復を追い風に営業損益は拡大基調だ。

 また15年3月期の配当性向は19.9%だった。ROEは14年3月期比0.1ポイント低下して6.8%、自己資本比率は同1.8ポイント低下して69.7%となった。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月11日公表)は売上高が前期比3.1%増の1850億円、営業利益が同0.2%減の54億円、経常利益が同0.6%減の58億円、純利益が同16.7%増の39億円としている。

 配当予想は普通配当26円に株式公開20周年記念配当2円を加えて、同3円増配の年間28円(第2四半期末14円、期末14円)としている。連続増配で予想配当性向は19.1%となる。

 景気回復に伴って半導体・電子部品業界の生産増加が予想され、貴金属関連事業の回収・販売数量が増加し、貴金属相場上昇の寄与も期待される。また食品関連事業も販売数量増加が期待される。会社予想は景気の不透明感も考慮して営業利益横ばいだが、保守的な印象が強く増額余地がありそうだ。

■株価は調整局面だが下値も限定的

 なお6月8日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限6万株、取得価額総額の上限1億円、取得期間15年6月9日~15年8月6日)については、7月27日までに累計6万株を取得(取得価額総額8789万300円)して終了した。

 株価の動きを見ると、年初来高値圏1500円~1600円近辺でのモミ合いから下放れの展開となってやや水準を切り下げた。ただし全般地合い悪化の影響を受けた7月9日の直近安値1355円から素早く切り返して1500円近辺まで戻している。調整局面だが下値も限定的のようだ。

 7月28日の終値1434円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS146円55銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間28円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1923円86銭で算出)は0.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形となって26週移動平均線を割り込んだが、52週移動平均線が接近してサポートラインとなりそうだ。0.7倍近辺の実績PBRなど指標面には割安感があり、調整一巡して反発展開が期待される。

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