【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アライドテレシスHDは調整の最終局面、サイバーセキュリティ関連のテーマ性

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アライドテレシスホールディングス<6835>(東2)はネットワーク関連機器を中心に総合ITソリューションを展開している。株価は6月24日に動意づいて104円まで急伸する場面があったが買いが続かず、その後は70円~75円近辺でモミ合う展開だ。ただし調整の最終局面だろう。サイバーセキュリティ関連のテーマ性も注目点で反発展開が期待される。なお8月12日に第2四半期累計(1月~6月)の業績発表を予定している。

■ネットワーク関連機器中心に総合ITソリューションを展開

 世界23カ国・40連結子会社を統括する純粋持株会社で、ネットワーク関連機器およびソリューションの企画・開発・製造・販売・保守事業などを展開している。さらにネットワーク機器メーカーからITインフラ・スペシャリストへのシフトを目指し、総合ITソリューションおよびサービスの提供を強化している。

 14年12月に新SDNソリューションを開発した。ストラトスフィア、ラクラス、クオリティソフト、トレンドマイクロ<4704>インターネットイニシアティブ(IIJ)<3774>と連携し、ネットワーク運用管理効率化とセキュリティー強化を実現する新しいコンセプトのソリューションとしている。販売開始は15年12月期第2四半期(4月~6月)で自治体・文教・医療市場を中心に販促活動を強化する方針だ。

 15年1月にはイスラエルに子会社アライドテレシスワイヤレスを設立するとともに、子会社アライドテレシス開発センターの社名をアライドテレシス総合研究所に変更した。

 15年2月には、当社のGbEソリューションが、米国最速インターネットサービスプロバイダ(ISP)であるグラント・カウンティ・パブリック・ユーティリティのウルトラ・ブロードバンド・アクセスネットワークに選定された。

 15年3月には、米バーノン・テレフォン・コオペラティブ(VTC)社と連携して、ギガビットネットワークの展開を進めていると発表した。米VTC社は集中管理型マルチメディアホームサービスを提供する通信プロバイダで、米国の過疎地でギガビットネットワークを実現している。

 15年4月には、最先端のセンサー・テクノロジーと脅威を検出して可視化するダッシュボード機能(監視コンソール)を統合した、新たな統合監視ソリューション「Envigilant(エンビジラント)」を開発した。

 また次世代型ファイアウォールの新製品UTM&VPNルーターに、英Kaspersky Labのアンチマルウェア/ウィルス対策エンジンを搭載して、セキュリティー・ソリューションを提供する。

■15年12月期は2桁増収で赤字縮小予想

 今期(15年12月期)の連結業績予想(2月13日公表)は売上高が前期比11.2%増の336億円、営業利益が5億40百万円の赤字(前期は18億43百万円の赤字)、経常利益が7億円の赤字(同3億67百万円の赤字)、純利益が16億円の赤字(同39億54百万円の赤字)としている。配当予想は無配を継続する。想定為替レートは1米ドル=120円としている。

 地域別売上高計画については、日本が同6.7%増の159億円、米州が同15.9%増の75億円、EMEA(欧州、中東、アフリカ)が同12.7%増の68億円、アジア・オセアニアが同20.6%増の34億円としている。

 ソリューション販売強化と付加価値サービス拡充、グローバル製品統一とユニファイド化促進による売上拡大、生産・ロジスティクス・販促・販売の効率化、主力テクノロジー絞り込みによる研究開発センターの機能統合推進、選択と集中による開発リソースの効率化、人材リソースの最適配分などを推進して営業損益の改善を図る方針だ。純利益は減損損失一巡も寄与して赤字幅が縮小する見通しだ。

 第1四半期(1月~3月)は売上高が前年同期比7.8%増の63億65百万円で、営業利益が13億98百万円の赤字(前年同期は15億50百万円の赤字)、経常利益が15億13百万円の赤字(同18億52百万円の赤字)、純利益が16億25百万円の赤字(同17億63百万円の赤字)だった。

 米州での販売が好調に推移し、円安も寄与して増収だった。利益面では、イスラエル子会社の設立や為替変動の影響による研究開発費の増加などで営業赤字が残ったが、ソリューション販売の強化や価格改定の効果で売上総利益率が同2.3ポイント改善して営業赤字が縮小した。円安も追い風であり通期ベースでも赤字縮小が期待される。

■株価は調整の最終局面で反発期待

 株価の動きを見ると、6月24日に動意づいて104円まで急伸する場面があったが買いが続かず、その後は70円~75円近辺でモミ合う展開だ。全般地合い悪化も影響して7月9日に年初来安値となる65円まで下押す場面があったが、影響は一時的のようだ。調整の最終局面だろう。

 7月28日の終値71円を指標面で見ると、前期実績PBR(前期実績の連結BPS51円79銭で算出)は1.4倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが下値も限定的のようだ。15年12月期の赤字予想は織り込み済みであり、調整一巡して反発展開が期待される。サイバーセキュリティ関連のテーマ性も注目点だ。

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