【注目銘柄】片倉コープは業績上方修正・増配見直しに高機能バイオ炭関連株人気がオンして3連騰

 片倉コープアグリ<4031>(東証スタンダード)は、前日11日に7円高の1594円と小幅ながら3営業日続伸して引け、昨年11月30日につけた昨年来高値1659円を視界に捉えた。同社株は、昨年11月14日に今2023年3月期の業績上方修正と期末配当の大幅増配を発表しており、これを手掛かりに割安修正買いが増勢となった。さらに昨年12月19日には、同社が共同開発する高機能バイオ炭が、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー産業技術総合開発機構)の「グリーンイノベーション基金事業」に採択されたことも、追撃材料視されている。

■肥料価格の値上げと値上げ前の駆け込み需要拡大が業績押し上げ

 同社の今2023年3月期業績は、売り上げが期初予想より64億円、営業利益が11億円、経常利益が12億円、純利益が7億円それぞれ引き上げられ、売り上げ529億円(前期比35.8%増)、営業利益25億円(同2.22倍)、経常利益26億円(同2.15倍)、純利益16億円(同56.5%増)と見込み、V字回復を鮮明化させる。原材料価格の上昇を価格転嫁するため昨年6月と11月に肥料価格を値上げしており、この価格効果と値上げ前に駆け込み需要が拡大した数量効果が業績を大きく押し上げた。業績の上方修正とともに配当性向50%を目標とする配当政策に基づき、今期配当を期初予想の50円から89円(前期実績57円)へ大幅に引き上げ、期初の減配予想が連続増配に変わる。

 なお高機能バイオ炭開発は、イネモミの殻や果樹選定枝の農業副産物に土壌病害菌を抑制する微生物の機能を付与して農業の生産性向上により収量を高めるとともに、農地が果たすCO2などの吸収・固定機能を最大化する事業で、同社やぐるなび<2440>(東証プライム)など4機関が参画し、2022年度から2030年度まで事業規模約111億円、支援規模約94億6000万円で実施する。

■PER8倍、PBR0.6倍、配当利回り5.5%の割安修正をGCが強力サポート

 株価は、今期業績の増益転換予想に6月の肥料価格値上げや第1四半期の好決算が続き1343円高値まで買い進まれ、世界同時株安の波及で1121円まで大幅調整したが、売られ過ぎとして底上げし、今期業績の上方修正・増配発表で窓を開けて昨年来高値1659円まで急伸し、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆した。足元では、この25日線を挟んで下値を確認する動きを続けているが、PERは8・92倍、PBRは0.62倍と割安で、年間配当利回りに至っては、5.55%と東証スタンダード市場の高配当利回りランキングの第19位にランクされている。GCが強力サポートして昨年来高値抜けから株式併合前の併合勘案の上場来高値1860円が上値目標となろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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