【どう見るこの相場】「ゴルディロックス相場」の株価多様性で2月期決算会社のインカムゲイン投資も適温選択肢

 業績の下方修正銘柄が、ぞろぞろと引きも切らない。決算発表が始まった当初の今年1月下旬段階では、まだ発表会社数が少なかった関係で1日に2銘柄、3銘柄程度にとどまったのが、発表が進むに従ってどんどんと下方修正銘柄数が増え続け、前週7日などは上方修正組が少数派に転落した印象を強めた。しかもこの下方修正が、常に業績懸念がつきまとう問題銘柄にではなく、主力銘柄のハイテク株はもちろん、化学株、非鉄株、海運株などに幅広く続出しているから余計に目立った。

 救いは、主力株の株価が、下方修正で急落して全般相場の足を引っ張る「○○ショック」などが起こっていないことである。むしろ業績下方修正をキッケに株価が急騰するケースさえ見られた。もともと今回の決算発表は、業績の伸び悩み観測が市場コンセンサスであった。長期化している資源・エネルギー価格の上昇に半導体不足の影響が長引き、ここにきての円安・ドル高から円高・ドル安への急転換が重なったからだ。それだけに悪材料織り込み済みとして業績下方修正を相場格言通りに「安値で出る悪材料は買い」と買い向かったフシもある。日経平均株価自体も、決算発表前に上値を抑えていた2万7500円が、決算発表進行とともにこのフシ目を上抜き、今度は、2万7500円が下値支持線に変わっている。

 この高値キープのマーケットを「ゴルディロックス相場(適温相場)」と評価する市場関係者も少なくないようである。弱気筋が売り強気筋も頑張り、過熱も冷えすぎもしないちょうどいい相場というわけだ。下方修正銘柄数のウエートが高いものの、上方修正銘柄もあり、さらに増配、自己株式取得からいま話題の株式分割を発表する銘柄も続出するなど株価材料が多様化して、好悪材料がゴチャマゼとなっていることが相場を支えているとみているのである。

 もちろん「ゴルディロックス相場」の前提は、景気の緩やかな回復と長期金利の低位安定である。この前提に立てば、米国の賃金インフレの減速とFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ停止により、米国の景気がハードランディング(強硬着陸)でなくソフトランディング(軟着陸)できるかがポイントになる。米国市場で相次ぎ発表される経済指標に一喜一憂しては強硬着陸か軟着陸か探り、これは次回のFOMC(公開市場委員会)の今年3月21日、22日まで続くはずだ。

 国内でも明14日に次期日本銀行総裁候補が国会に提示される。前週末10日の取引時間中に経済学者の植田和男氏が次期総裁に起用されると伝えられ、為替相場が、円高から円安に乱高下したが、異次元金融緩和策の出口戦略を巡ってまだまだ一揺れも二揺れもありそうだ。そうしたなかでコルディロックス相場が続いてくれるならば御の字である。過熱でも閑散でもないコルディロックス相場は、大勝ち、大駆けを目論んだら痛いしっぺ返しを受けそうだ。株価材料の多様性に注目して適温株価へのアプローチがふさわしそうだ。

 そこで今週の当特集では、権利付き最終日があと9営業日と迫っている2月期決算会社の配当権利取りのインカムゲイン投資を資金効率の良い債権投資の所有期間利回り的な感覚で提案することとした。2月期決算会社は、内需関連のディフェンシブ株が多く、また高配当ランキングの上位にランクされる銘柄は、期中で業績も上方修正した低PER・PBR銘柄も少なくないからだ。同じく2月末の権利付き最終日を迎える株式分割銘柄とともに適温株価を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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