JPホールディングスは23年3月期3Q累計2桁増益、通期増収増益予想

(決算速報)
 JPホールディングス<2749>(東証プライム)は2月10日の取引時間中に23年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。新規施設開設による受入児童数増加などで増収となり、効率的な施設運営なども推進して2桁増益だった。そして通期の増収増益予想(22年11月10日付で利益を上方修正)を据え置いた。期後半に向けて稼働率が上昇する効果なども勘案すれば、通期利益予想には再上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は「異次元の少子化対策」を材料視して急伸した1月の昨年来高値から反落したが、利益確定売りが一巡し、好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期3Q累計2桁増益、通期予想据え置きだが再上振れ余地

 23年3月期第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比2.6%増の260億51百万円、営業利益が16.2%増の24億99百万円、経常利益が16.2%増の25億22百万円、親会社株主帰属四半期純利益が26.5%増の17億77百万円だった。増収・2桁増益だった。

 売上面は受入児童数の増加で増収だった。依然としてコロナ禍の影響が残り、部分的な休園・休室があったが、新規施設の開設(保育所2園、学童クラブ・児童館12施設の合計14施設)や新規受託に加えて、他社に先駆けてデジタルを活用した園見学の実施、英語・体操・リトミック・ダンスなどのオンラインプログラムの実施、新たな幼児学習プログラム導入など「選ばれ続ける園・施設づくり」の取り組みが奏功した。なお第3四半期末時点の施設数は保育所209園、学童クラブ89施設、児童館10施設、合計308施設となった。

 利益面は2桁増益だった。各施設における水道光熱費の増加があったものの、受入児童数増加による増収効果に加えて、各施設の人員再配置など効率的な施設運営、各種仕入商品の価格高騰の影響抑制に向けた発注体制の見直しなどにより、各施設の収益改善およびコスト削減を推進した。また、前期に発生していた特殊要因費用(新人事制度導入に伴う賞与支給対象期間変更による賞与引当金の増額、システム導入に伴う費用の増加など)の一巡も寄与した。特別利益には固定資産売却益2億39百万円を計上した。土地・建物を保有して運営する保育園7園に関して、保有リスクを回避するため将来的な売却等を視野にオフバランス化を検討し、7園のうち2園の固定資産(土地・建物)を売却した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が85億96百万円で営業利益が7億26百万円、第2四半期は売上高が86億11百万円で営業利益が7億76百万円、第3四半期は売上高が88億44百万円で営業利益が9億97百万円だった。新規施設開園が概ね4月のため、期前半は各施設への保育士配置に係る費用が先行するが、児童数が増加して稼働率が上昇する期後半に向けて収益が拡大する特性がある。

 通期連結業績予想(22年11月10日付で売上高予想を据え置き、利益予想を上方修正)は据え置いて、売上高が22年3月期比3.7%増の356億40百万円、営業利益が8.6%増の36億33百万円、経常利益が10.5%増の37億11百万円、親会社株主帰属当期純利益が12.6%増の25億66百万円としている。配当予想は22年3月期比1円50銭増配の6円(期末一括)としている。普通配当を50銭増配するとともに、創業30周年記念配当1円を実施する。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が73.1%、営業利益が68.8%、経常利益が68.0%、親会社株主帰属当期純利益が69.3%となる。期後半に向けて稼働率が上昇する効果なども勘案すれば、通期利益予想には再上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は「異次元の少子化対策」を材料視して急伸した1月の昨年来高値から反落したが、利益確定売りが一巡し、好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。2月10日の終値は334円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS29円64銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の6円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS136円91銭で算出)は約2.4倍、時価総額は約293億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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