松田産業は24年3月期減収減益予想、配当は連続増配予想

(決算速報)
松田産業<7456>(東証プライム)は5月12日の取引時間終了後に23年3月期連結業績を発表した。計画を上回る増収増益で着地した。食品関連事業が仕入価格高騰などの影響を受けたが、貴金属関連事業が概ね順調に推移した。24年3月期は減収減益予想としている。貴金属関連事業では半導体・電子デバイス分野の生産低下に伴う取扱量減少、食品関連事業では物流コスト上昇などを見込んでいる。ただし保守的な印象が強く、積極的な事業展開で上振れを期待したい。なお配当は連続増配予想としている。株価は小幅レンジでモミ合う展開が続いている。24年3月期減収減益予想を嫌気する動きが優勢になったが、調整一巡して出直りを期待したい。

■23年3月期増収増益、24年3月期減収減益予想だが保守的

23年3月期連結業績は売上高が22年3月期比28.9%増の3510億28百万円、営業利益が9.0%増の138億18百万円、経常利益が0.8%増の138億43百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が1.4%増の96億96百万円だった。配当は22年3月期比4円増配の50円(第2四半期末25円、期末25円)とした。配当性向は13.5%となる。

計画(売上高3300億円、営業利益128億円、経常利益133億円、親会社株主帰属当期純利益93億円)を上回る増収増益で着地した。食品関連事業が仕入高騰などの影響を受けたが、貴金属関連事業が概ね順調に推移した。販売量の増加や販売単価の上昇などで増収増益だった。なお営業外では為替差損益が悪化(22年3月期は差益1億円、23年3月期は差損4億01百万円)した。

貴金属関連事業は、売上高が27.8%増の2465億78百万円、セグメント利益(営業利益)が16.4%増の120億43百万円だった。第3四半期以降にエレクトロニクス業界の生産活動が低下傾向となったが、通期ベースでは貴金属リサイクルの取扱量および産業廃棄物処理受託が増加し、金製品、銀製品および白金族製品などの販売量も増加した。

食品関連事業は、売上高が31.6%増の1045億30百万円、セグメント利益が23.9%減の17億74百万円だった。売上面は経済再開の動きに伴って業務用食品の需要が増加傾向となり、販売価格も総じて上昇したため大幅増収だが、利益面は運送費・保管料の増加や仕入価格の上昇などの影響で減益だった。

四半期別に見ると、第1四半期は売上高881億92百万円で営業利益42億63百万円、第2四半期は売上高878億12百万円で営業利益36億90百万円、第3四半期は売上高945億24百万円で営業利益34億63百万円、第4四半期は売上高805億円で営業利益24億02百万円だった。

24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比6.0%減の3300億円、営業利益が34.9%減の90億円、経常利益が32.8%減の93億円、親会社株主帰属当期純利益が33.0%減の65億円としている。配当予想は23年3月期比10円増配の60円(第2四半期末30円、期末30円)としている。連続増配予想で、予想配当性向は24.1%となる。

貴金属関連事業では半導体・電子デバイス分野の生産低下に伴う取扱量減少、食品関連事業では物流コスト上昇などを見込み、減収減益予想としている。ただし保守的な印象が強く、積極的な事業展開で上振れを期待したい。

■株価は調整一巡

株価は小幅レンジでモミ合う展開が続いている。24年3月期減収減益予想を嫌気する動きが優勢になったが、PBR1倍割れも評価材料であり。調整一巡して出直りを期待したい。5月16日の終値は2169円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS249円17銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3238円61銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約584億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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