アスカネットは24年4月期減益予想だが保守的、積極的な事業展開で収益拡大に期待

(決算速報)
アスカネット<2438>(東証グロース)は6月9日の取引時間終了後に23年4月業績(非連結)を発表した。大幅増益で着地し、配当を増額修正した。葬儀関連のフューネラル事業では遺影写真加工枚数が順調に増加し、写真集関連のフォトブック事業ではコロナ禍の影響が和らいだ。24年4月期はフューネラル事業で2年続いた葬儀件数の増加が落ち着くことを想定し、ベースアップや人員確保に伴う人件費増加などを考慮して減益予想としている。ただし保守的な印象が強く、会社予想には上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は反発力が鈍く、安値圏の小幅レンジでモミ合う形だ。目先的には24年4月期減益・減配予想を嫌気する可能性があるが、下値限定的だろう。

■23年4月期は大幅増益、24年4月期減益予想だが保守的

23年4月期の業績(非連結)は、売上高が22年4月期比10.2%増の69億76百万円、営業利益が33.0%増の5億85百万円、経常利益が36.5%増の6億18百万円、当期純利益が45.0%増の4億82百万円だった。配当は前回予想から期末1円増額修正し、22年4月期比2円増配の9円(期末一括)とした。配当性向は42.3%となる。

大幅増益だった。葬儀関連のフューネラル事業では遺影写真加工枚数が順調に増加し、写真集関連のフォトブック事業ではコロナ禍の影響が和らいだ。

セグメント別(内部売上・全社費用等調整前)に見ると、葬儀関連のフューネラル事業は売上高が13.7%増の31億52百万円で営業利益が5.4%増の7億51百万円だった。葬儀の小規模化傾向が継続しているものの、全国的な葬儀施行件数の増加や営業強化による葬儀社との新規契約獲得により、売上面は主力の遺影写真加工収入をはじめ、ハード機器やサプライ品も増加した。葬儀業界向けDXサービス「tsunagoo」も順調だった。利益面は、画像処理部門オペレーターを中心とする人員増強で人件費が増加したが、増収効果で吸収した。

写真集関連のフォトブック事業は売上高が6.8%増の36億40百万円で営業利益が19.9%増の7億72百万円だった。一般消費者向けの自社ブランド「マイブック」やOEMはマスク着用の常態化に伴う撮影機会の減少で減収だが、プロフェッショナル写真家向け「アスカブック」のウェディング関連が回復傾向となり、新製品投入で製品ラインナップを充実させている写真スタジオ向けも好調に推移した。利益面は、原材料価格上昇や水道光熱費増加などのマイナス要因があったが、工場稼働率上昇や生産性改善などの効果で吸収した。

空中結像プレートASKA3D関連の空中ディスプレイ事業は売上高が27.8%増の1億89百万円で、営業利益が3億円の損失(22年4月期は3億52百万円の損失)だった。売上面では、サイネージ向けガラス製ASKA3Dプレートの販売が国内外で進展し、製造に必要な金型の売上も発生した。利益面は、展示会出展や営業活動強化に伴って広告宣伝費や旅費交通費が増加したが、研究開発費のコントロールなどで営業損失が縮小した。

四半期別に見ると、第1四半期は売上高が15億43百万円で営業利益が52百万円、第2四半期は売上高が16億17百万円で営業利益が85百万円、第3四半期は売上高が20億40百万円で営業利益が3億46百万円、第4四半期は売上高が17億76百万円で営業利益が1億02百万円だった。

24年4月期の業績(非連結)予想は売上高が23年4月期比5.1%増の73億30百万円、営業利益が15.4%減の4億95百万円、経常利益が18.3%減の5億05百万円、当期純利益が26.7%減の3億53百万円としている。配当予想については23年4月期比2円減配の7円(期末一括)としている。予想配当性向は32.9%となる。

売上面は、フューネラル事業では2年続いた葬儀件数の増加が落ち着き、フォトブック事業では海外旅行などBtoC事業の戻りを保守的に計画している。空中ディスプレイ事業は拡販により売上拡大を推進する。セグメント別売上高の計画は、フューネラル事業が2.8%増の32億40百万円、フォトブック事業が2.9%増の37億40百万円、空中ディスプレイ事業が84.9%増の3億50百万円としている。

コスト面では、ベースアップや人員増強による人件費の増加、額や紙・インキなどの値上がりを想定して、各利益は減益予想としている。ただし保守的な印象が強く、会社予想には上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は下値限定的

株価は反発力が鈍く、安値圏の小幅レンジでモミ合う形だ。目先的には24年4月期減益・減配予想を嫌気する可能性があるが、下値限定的だろう。6月9日の終値は936円、今期予想PER(会社予想のEPS21円28銭で算出)は約44倍、今期予想配当利回り(会社予想の7円で算出)は約0.7%、前期実績PBR(前期実績のBPS373円19銭で算出)は約2.5倍、そして時価総額は約163億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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