ゼリア新薬工業は24年3月期1Q営業微減益だが経常・最終2桁増益、通期上振れの可能性

(決算速報)
ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は8月3日の取引時間終了後に24年3月期第1四半期連結業績を発表した。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引して2桁増収、研究開発費の増加などで営業微減益、為替差損益の改善で経常・最終2桁増益だった。不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第1四半期の利益進捗率が高水準であり、上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は6月の年初来高値圏から急反落したが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。第1四半期の利益高進捗率を評価して上値を試す展開を期待したい。

■24年3月期1Q営業微減益だが経常・最終2桁増益、通期上振れの可能性

24年3月期第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比12.3%増の183億04百万円、営業利益が0.2%減の29億70百万円、経常利益が12.8%増の33億55百万円、親会社株主帰属四半期純利益が12.1%増の29億15百万円だった。

売上面は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となって2桁増収だった。営業利益は販売促進費、研究開発費、減価償却費の増加などで微減益だったが、営業外における為替差損益の改善(前年同期はスイスフラン高の影響で為替差損1億03百万円計上、当期は為替差益1億64百万円計上)により、経常利益と親会社株主帰属四半期純利益は2桁増益だった。

医療用医薬品事業は売上高が16.2%増の119億47百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が1.5%増の28億74百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。なお23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継したダフクリアの販売を開始した。

コンシューマーヘルスケア事業は売上高が5.5%増の63億17百万円、利益が1.5%増の13億67百万円だった。コロナ禍の影響が和らいでヘパリーゼ群、医薬品ヘパリーゼ群、コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が回復基調となった。コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。22年10月に販売開始した滋養強壮保健剤ハイゼリー顆粒EXについては、認知度向上や拡販に努めている。

その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が6.5%増の38百万円、利益が10.9%増の64百万円だった。

通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。予想配当性向は27.7%となる。

医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。

第1四半期の進捗率は売上高が25%、営業利益が33%、経常利益が37%、親会社株主帰属当期純利益が42%で、利益進捗率が高水準だった。不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

株価は6月の年初来高値圏から急反落したが、調整一巡して反発の動きを強めている。第1四半期の利益高進捗率を評価して上値を試す展開を期待したい。8月3日の終値は2360円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約1254億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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