建設技術研究所、3Q累計は減益も受注好調で通期営業・経常増益予想を維持、自己株式取得を発表

(決算速報)
 建設技術研究所<9621>(東証プライム)は11月12日に25年12月期第3四半期累計連結業績を発表した。受注は好調に推移したが、売上高が小幅増収にとどまり、販管費の増加、一部子会社の原価率の上昇などで減益だった。ただし概ね計画水準だった。そして通期の営業・経常増益予想を据え置いた。受注拡大による稼働率の改善、経費管理の徹底による販管費の抑制などを見込んでいる。国土強靭化関連など事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお自己株式取得を発表した。株価は8月の最高値圏から反落してモミ合う形となったが、調整一巡感を強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■25年12月期中間期減益だが通期営業・経常増益予想据え置き

 25年12月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比1.5%増の732億70百万円、営業利益が12.5%減の64億89百万円、経常利益が11.0%減の66億02百万円、親会社株主帰属四半期純利益が18.1%減の43億11百万円だった。

 グループ全体の受注高は15.2%増の889億64百万円と好調に推移したが、売上高が小幅増収にとどまり、販管費の増加、一部子会社の原価率の上昇などで減益だった。ただし概ね計画水準だった。なお特別利益に投資有価証券売却益5億90百万円を計上した一方で、特別損失に社員寮として使用してきた土地・建物等の固定資産を事業用資産から遊休資産に変更したことに伴う減損損失4億32百万円を計上したほか、関係会社整理損88百万円、投資有価証券評価損42百万円を計上した。

 セグメント別(セグメント間取引消去前)に見ると、国内建設コンサルティング事業は、受注高が10.5%増の612億68百万円、売上高が2.0%増の503億33百万円、営業利益が8.8%減の63億22百万円だった。事業ポートフォリオ変革に取り組み、受注が好調に推移したが、利益面は販管費の増加や一部子会社の原価率の上昇が影響した。

 海外建設コンサルティング事業は、受注高が27.0%増の276億95百万円、売上高が0.4%増の229億36百万円、営業利益が64.5%減の1億70百万円だった。受注高は建設技研インターナショナルの大型案件受注によって大幅に増加したが、営業利益については建設技研インターナショナルの契約遅れ等による業務進捗率(原価率)の悪化などが影響した。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が301億10百万円で営業利益が58億59百万円、第2四半期は売上高が206億84百万円で営業利益が1億17百万円、第3四半期は売上高が224億76百万円で営業利益が5億13百万円だった。公共事業が主力で業務の進捗が年度末に集中するため、売上高および営業利益は第1四半期に偏重する収益特性がある。

 通期の連結業績予想(特別損失計上に伴い25年8月12日付で親会社株主帰属当期純利益を期初予想比6億円下方修正)は据え置いて、売上高が前期比2.4%増の1000億円、営業利益が6.4%増の100億円、経常利益が4.9%増の100億円、親会社株主帰属当期純利益が6.6%減の63億円としている。グループ全体の受注高は5.9%増の1000億円の計画である。配当予想は期初予想を据え置いて75円(期末一括)としている。25年1月1日付の株式2分割を遡及換算すると24年12月期の75円(期末一括)と同額で、予想配当性向は33.1%となる。

 セグメント別(セグメント間取引消去前)の計画は、国内建設コンサルティング事業の受注高が1.9%増の670億円、売上高が3.1%増の690億円、営業利益が8.0%増の93億円、海外建設コンサルティング事業の受注高が15.1%増の330億円、売上高が0.9%増の310億円、営業利益が9.4%減の7億円としている

 通期ベースでは受注拡大による稼働率の改善、経費管理の徹底による販管費の抑制などを見込んでいる。第3四半期累計の進捗率は売上高89%、営業利益65%、経常利益66%、親会社株主帰属当期純利益68%と概ね順調である。国土強靭化関連など事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は最高値更新の展開

 株価は8月の最高値圏から反落してモミ合う形となったが、調整一巡感を強めている。戻りを試す展開を期待したい。11月12日の終値は2877円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS226円77銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2213円71銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約815億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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