インテージホールディングスは24年6月期営業・経常増益予想

(決算速報)
インテージホールディングス<4326>(東証プライム)は8月7日の取引時間終了後に23年6月期連結業績を発表した。前回予想を下回り、営業・経常減益で着地した。マーケティング支援(消費財・サービス)事業が主要顧客群である消費財メーカーのビジネス環境悪化の影響を受けた。24年6月期は中期経営計画で掲げた成長戦略の推進や需要回復などで営業・経常増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。なお配当方針の変更を発表した。第14次中期経営計画期間中(24年6月期~26年6月期)の配当は累進的とし、26年6月期の配当性向を従来の40%から50%に引き上げる。株価は徐々に下値を切り上げている。目先的には23年6月期が前回予想を下回ったことを嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、下値限定的だろう。

■23年6月期は営業・経常減益、24年6月期は営業・経常増益予想

23年6月期の連結業績は、売上高が22年6月期比1.9%増の613億87百万円、営業利益が18.6%減の37億85百万円、経常利益が17.7%減の40億73百万円、親会社株主帰属当期純利益が2.5%増の35億05百万円だった。配当22年6月期比4円増配の42円(期末一括)としている。連続増配で配当性向は46.0%となる。

前回予想(売上高633億円、営業利益46億50百万円、経常利益50億円、親会社株主帰属当期純利益40億円)を下回り、営業・経常減益で着地した。マーケティング支援(消費財・サービス)事業が主要顧客群である消費財メーカーのビジネス環境悪化の影響を受けた。親会社株主帰属当期純利益については、特別損失で投資有価証券評価損が3億01百万円減少したことに加えて、法人税等調整額▲6億21百万円を計上して税負担が減少したことも寄与して増益だった。

マーケティング支援(消費財・サービス)事業は、売上高が4.3%増の401億53百万円、営業利益が28.6%減の16億43百万円だった。前期比では増収だが、主要顧客群である消費財メーカーのビジネス環境悪化の影響を受けて売上高が想定を下回り、販売体制強化を目的とした人件費の増加、SCIの刷新を中心とした先行投資などの影響で減益だった。

マーケティング支援(ヘルスケア)事業は、売上高が2.7%減の141億53百万円、営業利益が18.5%減の17億91百万円だった。主力のインテージヘルスケアのリサーチ事業が前期の体制変更の影響で減収だった。なお、CRO(医薬品開発業務受託機関)は構造改革効果で収益性が改善し、協和企画も次年度に向けた案件が活発化して回復軌道となっている。

ビジネスインテリジェンス事業は、売上高が1.3%減の70億80百万円、営業利益が131.7%増の3億50百万円だった。コロナ禍の影響を受けていた旅行業界を中心に既存業界向けソリューションの売上が回復傾向となり、原価低減や経費削減も寄与して大幅増益だった。

なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が141億19百万円で営業利益が5億73百万円、第2四半期は売上高が158億41百万円で営業利益が14億03百万円、第3四半期は売上高が179億29百万円で営業利益が20億70百万円、第4四半期は売上高が134億98百万円で営業利益が2億61百万円の損失だった。

24年6月期連結業績予想は売上高が23年6月期比5.1%増の645億円、営業利益が5.7%増の40億円、経常利益が5.6%増の43億円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の30億円としている。配当予想は23年6月期比1円増配の43円(期末一括)としている。予想配当性向は54.6%となる。

中期経営計画で掲げた成長戦略の推進や需要回復などで営業・経常増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は下値切り上げ

株価は徐々に下値を切り上げている。週足チャートで見ると13週移動平均線が支持線の形だ。目先的には23年6月期が前回予想を下回ったことを嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、下値限定的だろう。8月7日の終値は1683円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS78円80銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の43円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS808円17銭で算出)は約2.1倍、そして時価総額は約680億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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