【編集長の視点】土木管理総合試験所は反落も割安直近IPO株買いは根強く「初押しは買い」余地

編集長の視点

土木管理総合試験所<6171>(東2)は、92円安の1633円と4営業日ぶりに急反落して始まっている。同社株は、8月26日に公開価格1350円で新規株式公開(IPO)され、世界同時株安など株価乱高下が続くなか、公開価格を下回る1220円で初値をつけ上場来安値1140円と下ぶれたが、全般相場の落ち着きとともに、今12月期予想業績を基に算出したPER評価からも下げ過ぎとしてストップ高を交えて高値を追い、前日31日取引時間中には上場来高値1799円をつけた。

きょう1日は、日経平均株価が、317円安と続落してスタートしたことも響き、目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ下値には「初押しは買い」として割安直近IPO株買いが根強く続いている。同社は、長野県に中央試験センターを保有しており、JR東海<9022>(東1)が、南アルプストンネルの新設工事などリニア中央新幹線工事に本格着工することも、関連思惑材料に浮上している。

■東京五輪、北陸新幹線延伸など大型案件を控え積極的に人員増員

同社の今12月期業績は、売り上げ43億5600万円(前期比7.5%増)、経常利益4億100万円(同35.6%増)、純利益2億5600万円(同69.9%増)と予想されている。建設コンサルタント企業として、試験総合サービス事業、地盤補強サービス事業を展開し、全国的な防災・減災工事、社会インフラの老朽化更新工事のほか、関東では東京オリンピック関連案件や圏央道建設案件、北陸では北陸新幹線延伸案件、東北では震災復興関連案件の大型工事が続くなど事業環境は良好で、足元の需要を取り込むために積極的な人員増員を行っているが、この人員増による売り上げ増に加え、ワンストップサービスの推進、効率的な業務遂行、経費削減なども寄与し大幅増益を見込んでいる。配当も、年間18円を予定している。

■「小さく産んで大きく育てる」IPO株の投資鉄則通りに上値チャレンジ

株価は、公開価格を下回る初値形成となったが、その後のセカンダリーでは、ストップ高を交えて初値比較で47%高、直後の上場来安値比較では57%高とIPO投資の鉄則の「小さく産んで大きく育てる」通りの株価推移となった。IPO株の特性として上値のシコリは相対的に薄く、PERはなお15倍台と割安なだけに、これからIPO株の本領の値動きの軽さを発揮する本番となり、初押し場面から一段の高値チャレンジが続こう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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