【編集長の視点】カナミックネットワークは株式分割の権利取りで直近IPO株買いが再燃して反発

 カナミックネットワーク<3939>(東マ)は、80円高の7180円と反発して始まり、今年9月27日につけた上場来安値6610円から底上げしている。同社株は、今年9月14日に新規株式公開(IPO)されたばかりだが、IPO直後に矢継ぎ早に上場記念配当、株式分割と株主優遇策を発表しており、きょう26日が株式分割の権利付き最終日に当たることから権利取りと直近IPO株買いが再燃している。上場記念配当発表とともに上場来高値9760円をつけたことも、好材料への感応度が高いとして再現期待を高めている。

■「柏モデル」などの最先端の医療・介護情報共有システムが高成長

 株式分割は、10月11日に発表され、同社株式の投資単位当たりの金額を引き下げることにより投資家が投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大と同社株式の流動性を向上させることを目的としており、今年10月31日を基準日に1株を2株に分割する。これに先立って同社は、9月20日に目下集計中の前2016年9月期の配当として東証マザーズ上場の記念配当30円を実施することも発表、矢継ぎ早に株主への利益還元策を実施したことになる。

 相次ぐ優遇策の前提となる同社の業績も、好調である。目下集計中でIPO後の初決算となる前2016年9月期業績は、11月8日に発表予定だが、IPO時に売り上げ11億400万円(前々期比6.1%増)、営業利益2億5900万円(同6.2%増)、経常利益2億4900万円(同2.3%増)、純利益1億6200万円(同0.6%増)と予想され、連続して過去最高を更新する。介護と医療分野の情報を共有するプラットフォームを構築して地方自治体、医師会、医療法人、介護事業者に多職間連携を可能とするクラウドサービスを提供しており、患者ごとの状態変化がリアルタイムで把握できる先端性からユーザーID数が高成長、このストックビジネス効果が好業績要因となっている。

 とくに東京大学高齢社会総合研究機構と共同開発した「柏モデル」は、在宅医療・ケアに関わる地域包括ケアシステムを実現する情報共有シシテムとして高評価されている。続く今2017年9月期業績への寄与も期待されるところで、11月8日発表予定の決算発表での今期業績予想の動向が注目される。

■きょう26日の権利付き最終日は落ち後の業績・株価の好展開を先取りして権利取り妙味十分

 株価は、公開価格3000円でIPOされ、初日は買い気配値を切り上げたまま推移し、2日目に8600円で初値をつけ記念配当発表とともに上場来高値9760円まで買い進まれ公開価格比3.25倍の高人気となった。その後は、配当権利落ちとともに上場来安値6610円へ値を下げたが、株式分割発表とともに分割権利取りで8160円までリバウンド、最高値から最安値までの調整幅の半値戻しをクリアし中段もみ合いを続けている。きょう26日の権利付き最終日に株式権利を取って、落ち後の業績、株価の好展開を先取りする投資スタンスも十分に妙味がありそうで、残りきょう1日は熟考余地がある。(本紙編集長・浅妻昭治)

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