エア・ウォーター、LNG燃料転換の高まりを受けて国内最大で大型の新型「LNGタンクローリー」を開発

■効率的な燃料供給によりCO2排出削減に貢献

 エア・ウォーター<4088>(東証プライム)は10日、脱炭素化の流れを受けてCO2排出削減に取り組む事業者が増加することを踏まえ、LNGバンカリング(※1)向け大型LNGタンクローリーをはじめとした新型「LNGタンクローリー」を開発したと発表。

■開発の背景

 昨今の世界的な脱炭素社会への移行を受けて、工場や輸送機器のエネルギーを重油等から、環境負荷のより低いガス体エネルギーであるLNGへの燃料転換が進んでいる。

 同社は、1990年代より産業ガス事業で培った極低温技術やエネルギー供給事業者としての事業基盤を活かし、LNGの普及に貢献するLNG輸送機器や供給設備のエンジニアリングサービスを展開してきた。LNGタンクコンテナ・ローリーなどの関連輸送機器では国内トップシェアを有している。

 より効率的な燃料供給や顧客のさまざまなニーズに応えるため、海運業界におけるLNGバンカリング向け「大型LNGタンクローリー」、LNG消費量が中小規模のユーザー向け「ポンプ付きLNGタンクローリー」を開発。また、輸送効率を高めるために積載量を増加させた「14.2t積載LNGタンクローリー」についても従来から進めていた設計が完了した。

■新型「LNGタンクローリー」の概要

(1)LNGバンカリング用として国内最大(※2)、15.2t積載の大型LNGタンクローリー

 同社は2015年、日本初のLNG燃料船となる日本郵船株式会社のLNG燃料タグボート「魁」へのTruck to Ship方式(※3)のLNGバンカリングシステム及び機器の開発を皮切りに、バンカリング用途に対応した国内で唯一のLNGタンクローリーメーカーとして開発を進めてきた。2023年1月には商船三井のLNG燃料フェリー「さんふらわあ くれない/むらさき」(※4)(大阪〜別府航路)向けのLNGタンクローリー(最大積載容量13.7t)を開発し、納入。さらに、昨今のLNG燃料船の大型化や長距離航路のニーズが高まり、より効率的な燃料供給を実現するために、積載量をアップしたLNGタンクローリーの開発を進めてきた。

 内槽タンクの素材強度を高めることで高圧化(0.9MPa)し、LNGバンカリング用として国内最大である15.2t積載LNGタンクローリーを開発。今後も、LNG燃料船の導入拡大にあわせ、LNGタンクローリーの開発や販売拡大を進めていくとしている。

※1 船舶燃料としてLNG(液化天然ガス)を供給すること。
※2 国内でバンカリング用LNGタンクローリーを製造するのは同社グループのみであり、積載量15.2tが現時点で最大。
※3 陸側に駐車したLNGタンクローリーから、港に着岸しているLNG燃料船へLNGの供給を行うもの。
※4 「さんふらわあ」は、商船三井フェリーの登録商標である

(2)中小規模ユーザー向けのポンプ付きLNGタンクローリー

 これまでは輸送時に積載したタンク全量分のLNG燃料をお客様の工場へ輸送するのが一般的だったが、今後のさらなるLNGの普及に対応するには、LNGタンクローリー1台で複数の工場へ配送する必要がある。そこで、複数拠点への配送を可能にしたポンプ付きLNGタンクローリー(積載容量:6.5t)を開発した。LNGを卸す際のタンクローリー内の気化ロスを極力低減するとともに、荷卸し時間を短縮することができ、業務効率化に寄与する。試験運用期間を終えたため、2023年8月に本格販売を開始する。

(3)積載量を増加させた「14.2t積載LNGタンクローリー」

 LNGを運ぶ際の輸送効率を高めるためには、より積載量を多くしたタンクが必要である。従来の14.0t積載のタンクローリーを同じ車体枠で14.2t積載できる設計に変更。2024年夏の発売を予定している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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