【編集長の視点】ムーンバットは天候要因で業績好調、配当も大幅アップ、株価は2020年高値を目指す

■業績上方修正・増配を手掛かりに下値には押し目買い交錯

 ムーンバット<8115>(東証スタンダード)は、15日に1円安の657円と小幅続落して引けた。同社株は、8月8日に年初来高値750円まで買われており、東証スタンダード市場指数が、0.19ポイント安の1115.05と続落したことから目先の利益を確定する売り物が続いた。ただ取引時間中の安値646円からは引き戻して引けており、下値には押し目買いが交錯した。今年8月10日に発表した今2024年3月期業績の上方修正と増配が買い手掛かりで、台風7号の上陸と全国的な猛暑の同時発生している気象条件を背景に割安シーズン・ストック人気の再燃が期待されている。ヒストリカル的にも、今年3月に前期業績を上方修正してストップ高したことも連想されている。

■長雨、猛暑で雨傘・日傘販売が好調に推移し一部商品の価格改定も寄与

 同社の今3月期業績は、今期第1四半期(2023年4月~6月期、1Q)決算開示時に上方修正された。期初予想より売り上げを3億円、利益を各1億円引き上げたもので、売り上げ103億円(前期比7.5%増)、営業利益3億円(同2.63倍)、経常利益3億5000万円(同98.4%増)、純利益3億円(同2.13倍)と見込み、前期業績の黒字転換に続く業績高変化となる。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が「5類」に移行されたリオープン(経済活動再開)による人流の回復や長雨・猛暑などの天候要因で、同社の雨傘を含めたレイングッズやパラソルの季節商材が好調に推移し、一部商品を原材料高騰や円安に対応して価格改定したことが要因となった。今期1Qの身の回り品(洋傘・洋品・帽子)部門の売り上げは31億4500万円(前年同期比14.5%増)、セグメント利益は5億600万円(同88.9%増)と好調に推移した。

 今期配当は、業績の上方修正とともに連結配当性向30%をメドとする配当政策に基づき期初予想の年間12円から20円(前期実績6円)に大幅増配し、連続増配幅を拡大させる。

■PER10倍、PBR0.6倍、配当利回り3%の修正で2020年高値も意識

 株価は、前期業績の上方修正で年初来安値水準の400円台から下値を切り上げ、今期業績の2ケタ増益予想と自己株式を手掛かりに700円台に乗せ、長雨・猛暑関連のシーズン・ストック人気で年初来高値750円をつけた。今期業績の上方修正・増配では材料出尽くし・織り込み済みとして100円幅の下値調整となったが、PERは10.0倍、PBRは0.61倍、配当利回りは3.04%と市場平均を下回り下げ過ぎを示唆している。年初来高値を上抜き、2020年8月高値860円が次の上値ターゲットとして意識されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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