【編集長の視点】ヨコレイは連続最高業績を見直し割安ディフェンシブ株買いが再燃し反発

 ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は、前日31日に13円高の1068円と反発して引け、今年3月27日につけた中間配当の権利落ち後の年初来安値972円からの底上げを鮮明化した。同社株は、今年5月14日に開示した今2018年9月期第2四半期(2017年10月~2018年3月期、2Q)累計業績が、期初予想を下ぶれて着地したことから、25日移動平均線に上値を抑えられるもみ合いを続けてきたが、今期通期業績が連続の過去最高更新と予想されていることを見直し、売られ過ぎは明らかとして割安ディフェンシブ株買いが再燃した。昨年7月に参入を発表したマレーシアでの海老養殖事業が、本格稼働に近付いていることも業績期待を高めている。

■トラウト養殖事業の利益貢献度が高まり東京羽田物流センターの稼働開始も寄与

 同社の今期2Q業績は、売り上げがほぼ期初予想並みの前年同期比4.6%増と続伸したものの、利益が期初予想を10億円~1億円下ぶれ、同17.9%営業減益、22.0%経常減益、16.8%純益減益と減益転換した。冷蔵倉庫事業では、前期に閉鎖した2物流センターの減収要因や、今年2月に竣工した東京羽田物流センターの立ち上げ費用、減価償却費増を、昨年6月に稼働した幸手物流センターのフル稼働などでカバーして増収増益となったが、食品販売事業では、水産物が、ノルウェーのトラウト養殖事業や鮭鱒、サバの輸出が収益に貢献したものの、畜産品の需給バランスの不安定化や農産物の単価下落が響いて増収減益となったことなどが響いて減益転換した。

 今9月期通期業績は、期初予想に変更はなく、売り上げ1630億円(前期比2.5%増)、営業利益70億円(同35.1%増)、経常利益70億円(同28.8%増)、純利益40億円(同19.0%増)と連続の過去最高更新を見込んでいる。ノルウェーのトラウト養殖事業の利益貢献度が下期にさらに高まるほか、今年2月の東京羽田物流センター稼働で首都圏で12カ所となる冷蔵食品の物流網が構築され効率化が進展し、さらに今期中にマレーシアの海老養殖事業が始動してトラウト養殖事業と同様に垂直統合型ビジネスモデルが収益寄与段階に移行することなどが要因となる。なお今期配当は、期末に設立70周年の記念配当3円を上乗せして13円とし、年間配当を23円(前期実績20円)に増配する。

■岩盤示唆のトリプル・ボトムから低PER・PBR修正で昨年来高値奪回へ再発進

 株価は、今期業績の連続過去最高更新予想にトラック予約受付システムの試験導入開始が加わり昨年来高値1224円まで買い進まれ、年明け後は、2月に世界同時株安の波及で1032円安値まで調整し、中間配当の権利取りで1129円までリバウンドしたものの、中間配当の権利落ちで年初来安値972円へ調整、同安値は売られ過ぎとして1136円へ買い直され、今期2Q累計業績の下ぶれ着地で1000円台を試す再々調整をした。この2月、3月、5月のそれぞれの安値ではテクニカル的に3月安値をボトムとする三点底(トリプル・ボトム)を形成、底値岩盤を示唆している。PERは13倍台、PBRは0.8倍、配当利回りは2.15%となお売られ過ぎは明らかであり、イタリア政局の混迷や米トランプ政権の保護主義的な通商政策などの相次ぐ悪材料で全般相場の先行きが予断を許さない相場環境下、この圏外に位置するディフェンシブ株人気を高めて、昨年来高値奪回に向け再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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