【編集長の視点】八洲電機の業績は上方修正、純益最高更新幅も拡大し売られず過ぎ示唆

■石油・化学・銅・ステンレス業界の設備更新需要で受注好調

 八洲電機<3153>(東証プライム)は、前日3日に44円安の1258円と6営業日続落して引けた。日経平均株価が、521円安と4営業日続落し、バリュー株売りが目立ったことから9月26日に戻り高値1430円までリバウンドしていた同社株にも目先の利益を確定する売り物が続いた。ただ同社は、今年9月20日に今2024年3月期業績の上方修正を発表し、今期純利益が、連続過去最高の更新幅を拡大する好実態に加え、株価がすでに戻り高値から12%調整し、25日移動平均線から5%超の下方かい離となっていることから売られ過ぎを示唆している。突っ込み場面は、出直り期待の打診買いも一考余地がありそうだ。

■プラント事業が設備新設、老朽化設備の更新工事などで好調に推移

 同社の今3月期業績は、売り上げを期初予想通りの620億円(前期比2.9%増)としたが、営業利益と経常利益は期初予想より4億円、純利益は1億円それぞれ引き上げ、営業利益は33億円(同18.1%増)、経常利益34億円(同16.0%増)、純利益21億円(同9.6%増)と見込み、純利益は、前期の過去最高を連続更新する。プラント事業が好調に推移していることが要因で、銅・ステンレス業界では生産能力増強のために設備の新設・増築が続き、石油・化学・ガス業界では老朽化設備の更新工事が続き、とくに石油業界では老朽化発電設備更新の大型案件が進行した。

 10月3日に発表された日銀短観(9月調査)でも、大企業製造業の2023年度の設備投資計画は、前年度比20.0%増と前回6月調査より上方修正されており、一段の業績押し上げ材料となりそうだ。また同社は、従業員向けのウェルビーイング経営(健康経営)にも前向きで、昨年8月に物価上昇に対応して特別一時金(インフレ手当)を支給したのを手始めに、今年3月には給与水準と新入社員向けの初任給を引き上げ、今年8月には夏季休暇中の現場作業に従事する従業員に酷暑手当を支給した。岸田文雄内閣の重要施策として賃上げが注目されるなか、モデル企業として株価的にポジティブに評価される可能性もある。

■急伸時に開けた窓埋め以上の調整となりPERは12倍と割安水準

 株価は、前期業績の上方修正で1000円大台を回復し、再上方修正とインフレ手当支給などで1380円と上値を伸ばし、今期業績の続伸予想で上場来高値1435円まで買い進まれた。同高値後は1251円と下値を窺う場面もあったが、酷暑手当支給で持ち直し、今期業績の上方修正とともに窓を開けて1430円の戻り高値へ141円高した。足元では、この戻り高値から172円安と窓埋め以上の調整となり、投資採算的にもPERは12.7倍と売られ過ぎを示唆している。戻り高値抜けから上場来高値奪回を期待し突っ込み買いも一考余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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