立花エレテックは24年3月期3Q累計2桁増益、通期は再上振れの可能性

(決算速報)
 立花エレテック<8159>(東証プライム)は2月8日の取引時間終了後に24年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。2桁増益で着地した。主力のFAシステム事業の好調が牽引し、半導体デバイス事業、施設事業も利益貢献した。そして通期予想(23年11月7日付で上方修正)を据え置いた。不透明感を考慮して営業・経常利益横ばい予想としているが、第3四半期累計の進捗率が高水準であることなどを勘案すれば、通期会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上場来高値圏だ。好業績に加えて指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■24年3月期3Q累計2桁増益、通期据え置きだが再上振れの可能性

 24年3月期第3四半期累計(23年4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比1.3%増の1707億76百万円、営業利益が19.5%増の86億64百万円、経常利益が17.8%増の93億44百万円、親会社株主帰属四半期純利益が15.2%増の64億70百万円だった。2桁増益で着地した。主力のFAシステム事業の好調が牽引し、半導体デバイス事業、施設事業も利益貢献した。

 セグメント別に見ると、FAシステム事業は売上高が5.0%増の871億74百万円で営業利益が18.5%増の48億95百万円だった。主力製品が順調に伸長して増収増益だった。FA機器分野では半導体製造装置関連、物流関連、食品関連の設備投資案件により、プログラマブルコントローラー、インバーター、ACサーボが大幅に増加した。FAシステムソリューション分野では低圧配電制御機器が増加し、システム案件も好調だった。産業メカトロニクス分野では自動化設備が堅調に推移し、鉄鋼プラント向け大型設備投資案件獲得も寄与した。一方、産業デバイスコンポーネント分野ではネットワーク機器などが減少した。

 半導体デバイス事業は売上高が5.1%減の654億98百万円だが、営業利益が14.2%増の36億円だった。電子デバイス分野で液晶やコネクターなどが減少したため減収だが、マイコン、メモリー、パワー半導体などが堅調に推移した。

 施設事業は売上高が14.9%増の141億50百万円で営業利益が1億98百万円(前年同期は2百万円の損失)だった。データセンターや大型再開発案件向けの受配電設備、集合住宅向け昇降機、物流倉庫関連の空調設備などが増加した。またリニューアル分野ではLED照明や空調機の更新需要が増加した。

 その他は売上高が7.1%減の39億53百万円で、営業利益が29百万円の損失(前年同期は34百万円の損失)だった。EMS分野は家電向け液晶基板ビジネスが好調だったが、MMS分野において物流倉庫案件の計画変更や金属部材の価格高騰の影響を受けた。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が558億80百万円で営業利益が27億50百万円、第2四半期は売上高が589億31百万円で営業利益が30億25百万円、第3四半期は売上高が559億65百万円で営業利益が28億89百万円だった。

 通期連結業績予想(23年11月7日付で上方修正)は据え置いて、売上高が23年3月期比0.6%減の2260億円、営業利益が0.8%増の104億円、経常利益が0.0%減の110億円、親会社株主帰属当期純利益が4.3%減の75億円としている。配当予想は23年3月期比10円増配の100円(第2四半期末50円、期末50円)としている。3期連続増配で予想配当性向は32.8%となる。

 不透明感を考慮して営業・経常利益横ばい予想としている。ただし第3四半期累計の進捗率が売上高76%、営業利益83%、経常利益85%、当期純利益86%と高水準であることなどを勘案すれば、通期会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は上場来高値圏だ。好業績に加えて指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。2月8日の終値は3090円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS306円25銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の100円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3388円58銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約773億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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