【どう見るこの相場】日経平均のNYダウに対する強さは戻るか

今年前半、日経平均はNYダウを引っ張る展開だったが、夏場以降はNYダウに比べ逆に元気がない。アベノミクス第2ステージに期待して日経平均の奮起を見込みたいところだが果たしてどうか。

■日経平均のNYダウに対する上ザヤは7月の3000ポイントで頭打ちか、アベノミクス第2ステージは主力株より材料株が主役も

<Q>前週末のNYダウは113ドル高かったが、週明け28日の日経平均は235円も下げた。今年5~6月はNYダウが下げても日経平均は強い動きだったと思うが。

<A>その通りだ。NYダウと日経平均の強さを見る尺度の一つである、「日経平均上ザヤ」は、今年2月に日経平均がNYダウを上回って以降日経平均の優勢が続いていた。7月24日には日経平均上ザヤが2976ポイントまで拡大した。まさに、今年前半はNYダウに比べ日経平均の元気の良さが際立った期間だったといえる。

<Q>理由は何か。

<A>ひとことで言うなら2013年からのアベノミクス効果が現れた結果といえる。つまり、円安、金融緩和などの政策効果がトヨタ自動車など一連の主力銘柄に顕著に現れ、ROEがアップし増配が相次いだ。日経平均が6月24日に2万0952円(場中)の高値をつけたのも高ROE、増配銘柄が大きく寄与した結果といえる。

<Q>今は、日経平均の上ザヤはどうか。

<A>残念ながら縮小傾向で、去る、9月14日には日経平均の上ザヤは1044ポイントまで大きくダウンしている。

<Q>原因は、やはり6,7月に活躍した主力株の芳しくないことによるためか。

<A>その通りだ。主力株は6月頃にかけて買いついたため信用買残が大きく膨張、これが主力株の上値を押さえている。NYダウがチャイナショックで8月25日前後に底打ちしたのに対し、日経平均は9月に入って8月安値を更新するという動きに日経平均の弱さが端的に現れているみることができる。

<Q>アベノミクス第2ステージで、再び、日経平均のNYダウに対する上ザヤ拡大は期待できないか。

<A>確かに、利上げが頭を押さえているNYダウに対し景気対策の見込める日経平均とでは明暗が分かれているから常識的には日経平均が強い展開となることは大いに期待できる。しかし、日経平均の上ザヤが再び3000ポイントまで拡大するかどうかは少々、疑問ありだ。

<Q>なぜか。

<A>一つには、日経平均に寄与度の大きいトヨタ株など主力株はあまりにも信用買残など上値でのシコリが多すぎることがある。それに、アベノミクス第2ステージの「新3本の矢」戦略というが、ついこれまでの旧3本の矢はどうなったのだろうという疑問がある。単に、「新」という言葉を加えただけではないかという見方もある。もちろん、国策として経済再生が打ち出されたことからマーケットには悪い話ではないが、どのような具体策が出るかを見極めるまでは主力株はシコリを吸収するだけの力は乏しいだろう。従って、主力株よりも中小型株がアベノミクス第ステージを好感する展開ではないかとみられる。しばらくは、日経平均よりも個別銘柄中心の、「森を見るより木を見る」相場だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る