【株式市場特集】2024年問題を乗り越える物流業界の新戦略、今週注目の成長銘柄

■「2.0相場」の幕開けに向けた市場の潮流

 「2024年問題」は、Xデーの4月1日を前に新聞、テレビで大々的に取り上げられてきたが、それ以外に水面下で深く進行中の理想材料もあることを示唆しており、これを手掛かりにバージョンアップする第2幕目の「2.0相場」の株価ストーリーがスタートすることになるかもしれないのである。今週の当コラムは、物流各社の合従連衡思惑のほか、定番銘柄の物流システム会社、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)会社、さらに業界大変動でビジネスチャンスが広がるM&A仲介会社まで範囲を広げ、浮上銘柄への接近を試みることにした。株価ストーリーが、現実買いにつながれば幸いである。

■成長戦略にM&Aを組み込んだ割安物流株を押し立てて定番銘柄も再出番

 まず物流会社では、今回のAZ-COM丸和HDのTOBのリリースに登場した銘柄が要注目となる。同社が、2022年2月にTOBしたアマゾン向け物流センターの受託運営のファイズホールディングス<9325>(東証スタンダード)のほか、モーダルシフトの鉄道・船舶輸送で連携の上組<9364>(東証プライム)、航空輸送で子会社が連携のANAホールディングス<9202>(東証プライム)である。また内外のM&Aを成長戦略に組み入れている物流会社も要注目で、SBSホールディングス<2384>(東証プライム)、日本郵政<6178>(東証プライム)、鴻池運輸<9025>(東証プライム)、日本郵政<6178>(東証プライム)、ヒガシトゥエンティワン<9029>(東証スタンダード)、ハマキョウレックス<9037>(東証プライム)、センコーグループホールディングス<9069>(東証プライム)、キユーソー流通システム<9369>(東証スタンダード)など、多くが昨年来高値水準にあるもののなお割り負けており、一段の理想買いが進もう。成田空港での新倉庫建設計画を発表したサンリツ<9366>(東証スタンダード)も、この一角を形成しよう。

 定番銘柄の物流システム機器関連では、本命の自動倉庫のダイフク<6383>(東証プライム)を始め搬送機器のトーヨーカネツ<6369>(東証プライム)、無人フォークリフトの三菱ロジスネクスト<7105>(東証スタンダード)、ハンディターミナルのサトーホールディングス<6287>(東証プライム)、HIOKI<6866>(東証プライム)、パレット・レンタルの日本パレットプール<4690>(東証スタンダード)、ユーピーアール<7065>(東証スタンダード)などが買われそうだ。宅配ボックス株のアルファ<3434>(東証スタンダード)とダイケン<5900>(東証スタンダード)の人気復活もあるかもしれない。

■WMS展開など物流DX株は競争優位性を発揮し仲介会社にもビジネスチャンス

 物流DX関連株では、荷積み・荷待ち時間を短縮する倉庫管理システム(WMS)株が最先端に位置し、YE DIGITAL<2354>(東証スタンダード)、ロジザード<4391>(東証グロース)、関通<9326>(東証グロース)が関連株となる。このうち関通は、前週末29日に「クラウドマークス」のバージョンアップ開発に成功し旧バージョンの除却損を計上し2024年2月期業績の下方修正を発表しており、これをどう評価するかがポイントとなる。B2Bのオープンプラットフォームを展開する「ハコベル」に出資・参画しているラクスル<4384>(東証プライム)、日本ロジテム<9060>(東証スタンダード)、山九<9065>(東証プライム)、福山通運<9075>(東証プライム)、セイノーホールディングス<9076>(東証プライム)も競争優位性を発揮しよう。

 また物流業界は、零細・中小・大規模事業者などの6万社超が多重下請け構造を形成し、事業者の高齢化・後継者難に今回の「2024年問題」によるドライバー不足、DX投資負担などが重なる厳しい経営環境下にあり、スケールメリットを追求するM&Aや事業承継の仲介件数が増加すると観測されている。M&Aの仲介会社サイドも、ビジネスチャンスとして積極的にアプローチしており、「2024年問題」の関連株に浮上する。日本M&Aセンターホールディングス<2127>(東証プライム)、M&Aキャピタルパートナーズ<6080>(東証プライム)、ストライク<6196>(東証プライム)、オンデック<7360>(東証グロース)、ジャパンM&Aソリューション<9236>(東証グロース)、M&A総研ホールディングス<9552>(東証プライム)などをマークするところだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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