【どう見るこの相場】Xデーの「2024年問題」の物流株はストーリー買いでなお「2.0相場」余地

■「2024年問題」を超える新たな株価ストーリーの幕開け

 「理想で買って現実で売る」といえば、株式投資の基本中の基本セオリーである。株価は、半年先を先取りし株価ストーリーを組み立てて理想買いして上昇し、そのストーリーが現実となった途端に材料出尽くし、織り込み済みとして急落すると教えている。ではきょう1日に猶予期限切れで適用開始のXデーとなる物流業界、建設業界、医師の「2024年問題」はどうだろうか?この「2024年問題」は、半年前どころか、5年も前の2019年4月1日の働き方改革関連法案施行時に、適用猶予事業・業務とされ、以来この5年間、折に触れて理想材料として先取りされストーリー買いされマーケットを賑わせてきた。投資セオリーからは、カタリスト(株価材料)としては「ジ・エンド」のはずである。

 ところがである。この「2024年問題」の一部になお二つの株価ストーリーが燻ろうとしているのである。となれば投資セオリー破りとなるかもしれないではないか?その一つは、あろうことか適用開始直前の今年3月21日に発表されたAZ-COM丸和ホールディングス<9090>(東証プライム)のC&Fロジホールディングス<9099>(東証プライム)への株式公開買い付け(TOB)である。2024年問題で浮き彫りとなったドライバー・稼働車両不足や運送事業者の高齢化・後継者難、物流効率化のための物流DX(デジタルトランスフォーメーション)への投資負担など厳しい経営環境下にある物流業界で、関係する企業が、連携・協動して人財・物流網などの経営資源を統合して事業構造を変革することは重要で、とくに低温食品輸送ではシェア第4位のC&FHDと同9位のAZ-COM丸和HDの統合によりシェア9.1%の第3位になるとして、TOB価格3000円でTOBを提案した。

 これに対してC&FHDは、事前に通告を受けていなかったとしてTOBに対する賛同・反対の取締役意見を検討するとしたが、前週末29日段階ではなお意見表明はない。両社は、2023年10月に続けていた経営統合協議が物別れになった経緯もあり、賛同意見の表明なら友好的TOB、反対意見の表明なら敵対的TOBに発展することになる。C&FHDの株価は、TOB提案とともに2日連続のストップ高を交えて3160円まで買い進まれ、TOB価格を上回っており、マーケットは敵対的TOBを先取りして「ホワイトナイト(白馬の騎士)」の登場によるTOB価格の引き上げ、業界再編・異業種連携の「パンドラの函」の蓋が開く株価ストーリーを期待しているようにもみえる。

 もう一つの株価ストーリー銘柄は、アルプス物流<9055>(東証プライム)である。今年2月29日に海外プレスが、親会社のアルプスアルパイン<6770>(東証プライム)が、保有株を売却すると報道し、同社は、親会社が検討していることは聞いているが、決まった事実はないとして株価は、ストップ高を交えて上場来高値2910円まで1000円高したが、前週末29日現在、両社から保有株式売却の発表はない。アルプスアルパインの議決権比率が48.9%に達する親子上場会社として、荷主と電子部品物流会社として利益相反関係の解消が期待されるほか、アルプス物流の親会社向けの売上高比率が31.7%となっており、グループ以外への顧客向け売り上げ拡大を重点課題としている成長戦略からも、親会社の保有株式売却の先行きが株価ストーリーとして注目されることになる。

 「2024年問題」は、Xデーの4月1日を前に新聞、テレビで大々的に取り上げられてきたが、それ以外に水面下で深く進行中の理想材料もあることを示唆しており、これを手掛かりにバージョンアップする第2幕目の「2.0相場」の株価ストーリーがスタートすることになるかもしれないのである。そこで今週の当コラムでは、物流各社の合従連衡思惑のほか、定番銘柄の物流システム会社、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)会社、さらに業界大変動でビジネスチャンスが広がるM&A仲介会社まで範囲を広げ、浮上銘柄への接近を試みることにした。株価ストーリーが、現実買いにつながれば幸いである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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