【どう見るこの株】AREホールディングスは今期純利益の減益転換・減配予想は織り込み済み

どう見るこの株

■PER11倍、配当利回り4%と割安修正も窺う

 AREホールディングス<5857>(東証プライム)は、安全資産の金関連株の一角に位置するが、イスラム組織ハマスとイスラエルの間で休戦交渉が続けられ地政学リスクが後退するとして金先物価格の上値が重くなっていることから持ち高調整の売り物が続いている。ただ25日移動平均線水準で続けてきた三角保ち合いで25日線を上回る場面もあり、今年4月25日に発表した3月期決算で今期純利益の減益転換・減配予想は織り込み済みとして押し目買いも交錯している。決算発表と同時に発表した自己株式取得も、側面支援材料視されている。

■高水準の金先物価格、資源回収量増加、円安・ドル高とトリプル効果

 同社の業績は、前期業績が今年1月に開示した下方修正値を上ぶれて着地し、純利益が244億9000万円(前々期比2.24倍)とV字回復した。連結子会社のジャパンウエストとレタナス(東京都千代田区)の株式交換が完了しレタナス株式の公正価値を評価し「非継続事業からの当期利益」を計上したことが要因となった。これに対して今2025年3月期業績は、売上収益3700億円(前期比14.8%増)、営業利益180億円(同45.5%増)、経常利益176億円(同41.6%増)、純利益81億4800万円(同46.3%減)と見込んだ。貴金属事業では、金先物価格が、今年4月12日の米国市場で1トロイオンス=2448.8ドルと史上最高値をつけ、その後も高水準で推移しており、貴金属事業が価格効果と回収量増加、さらに円安・ドル高のトリプル・メリットを受けることなどが寄与する。純利益は、前期計上の「非継続事業からの当期利益」が一巡して減益転換と予想している。

 配当は、配当性向40%をメドにする配当政策に従って年間80円(前期実績90円)に減配を予定している。また自己株式取得は、取得上限を65万株(発行済み株式総数の0.85%)、取得総額10億円、取得期間を4月26日から6月30日までとして推進中である。なお金先物価格は、ハマス・イスラエルの休戦交渉の進展下でも1トロイオンス=2300ドル台の高水準で推移しており、休戦交渉の結果次第では再び地政学リスクが懸念される可能性も残る。

■25日線での三角保ち合いが煮詰まりPER11倍、配当利回り4%の割安修正も窺う

 株価は、貴金属事業でロジウムやパラジウムの価格が想定を下回ったことで前期業績が伸び悩み、四半期決算発表のたびに下ぶれ、昨年10月の第2四半期決算では昨年来安値1768円へ突っ込んだものの、悪材料出尽くし感とパレスチナ情勢の緊迫化による地政学リスク懸念で金先物価格が上昇したことを手掛かりに今年1月に2057円まで上昇し、前期業績の下方修正で再度、1895円安値まで調整し、25日移動平均線を出没する三角保ち合いを続け、今期業績の発表とともに煮詰まり感も強めてきた。PERは11.4倍、配当利回りは4.0%と割安を示唆しており、今年1月高値抜けから2022年3月高値2421円を目指し再発進しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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