【どう見るこの株】中村超硬は続落も2期ぶり黒字転換予想を手掛かりに業績高変化率株買いに一考余地

 中村超硬<6166>(東証グロース)は、前日15日に13円安の293円と続落して引けた。前場は300円台で売り買いが交錯したが、日経平均株価が372円安と続落したことから目先の利益を確定する売り物に押された。ただ同社は、今年5月12日に発表した3月期業績の業績ガイダンスで、今2026年3月期の純利益を2期ぶりの黒字転換と予想しており、これを手掛かりに業績高変化率銘柄として低位値ごろ株買いも一考余地がありそうだ。テクニカル的にも、今年2月につけた年初来高値395円から4月に年初来安値244円まで調整したが、この調整幅の半値戻しをクリアしてもみ合っており、相場格言の「半値戻しは全値戻し」も期待される。

■炭素繊維用ノズルやパワー半導体向けダイヤモンドワイヤが好調推移

 同社の今2026年3月期業績は、売り上げ30億円(前期比13.6%増)、営業利益3500万円(同35.0%増)、経常利益5500万円(前期は2100万円の赤字)、純利益1000万円(同3200万円の赤字)と見込まれ、純利益は2期ぶりの黒字転換となる。2期前の2025年3月期の純利益は、1億4400万円の黒字だったが、これは法人税等調整額4億800万円を特別利益に計上したことが要因であり、これを除くと期間利益で黒字転換するのは2000年3月期以来、6期ぶりになる。

 特殊精密機器事業では、新素材で製作した実装機用ノズルの販売の本格化や商社を活用した自動車部品メーカー向けの受注拡大などで売り上げが前期比21.5%増の8億6000万円、化学繊維用紡糸ノズル事業では、航空機用向けの炭素繊維用ノズルが好調に推移して同じく7.2%増の18億円、D-Next事業では、パワー半導体・難削材料向けのダイヤモンドワイヤなどの販売数量拡大やシェアアップで同じく31.3%増の3億2000万円と増収を見込んでいることが要因となる。

■年初来高値からの調整幅の半値戻しをクリアし全値戻しを目指す

 株価は、前期第3四半期(2024年4月~12月期、3Q)業績が9カ月累計では赤字着地したものの、3カ月実績では黒字転換したことで業績回復を先取りして年初来高値395円まで買い進まれ、今年4月にはトランプ関税による世界同時株安に巻き込まれて年初来安値244円まで売られた。同安値から売られ過ぎとして底上げし、今期業績の黒字転換予想で上値を伸ばし、年初来高値から年初来安値への調整幅の半値戻しを達成した。相場格言の「半値戻しは全値戻し」を示現すべく年初来高値奪回を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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