生化学工業は25年3月期1Q増収増益、通期も大幅増益予想維持

(決算速報)
 生化学工業<4548>(東証プライム)は8月5日の取引時間終了後に25年3月期第1四半期連結業績を発表した。ロイヤリティーが大幅に増加し、LAL事業における海外販売の増加、研究開発費の減少なども寄与して増収増益だった。そして通期の大幅増益予想を据え置いた。医薬品の販売は減少するが、ロイヤリティー収入の増加や研究開発費の減少が寄与する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で急反落して年初来安値圏に回帰したが、売られ過ぎ感を強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。

■25年3月期1Q増収増益、通期大幅増益予想据え置き

 25年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比3.7%増の100億22百万円、営業利益が26.3%増の16億40百万円、経常利益が11.6%増の21億86百万円、親会社株主帰属四半期純利益が0.7%増の19億01百万円だった。

 ロイヤリティーが大幅に増加し、LAL事業における海外販売の増加、研究開発費の減少なども寄与して増収増益だった。研究開発費は10.4%減の15億57百万円だった。営業外収益では為替差益が1億34百万円減少(前期は4億37百万円、当期は3億03百万円)した。

 医薬品事業は売上高が1.6%減の70億59百万円、営業利益が34.8%増の13億09百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が15.7%減の27億91百万円、海外医薬品が50.6%減の11億47百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が12.4%減の7億32百万円、ロイヤリティーが241.5%増の23億88百万円だった。

 国内医薬品では、関節機能改善剤アルツが増産体制整備に向けた設備メンテナンスに伴う出荷量調整の影響で減少した。眼科手術補助剤オペガン類は前期に一時的要因で増加した反動で減少した。海外医薬品は、米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが出荷タイミングにより減少し、中国向けアルツが前期に出荷前倒しした影響で減少した。医薬品原体・医薬品受託製造は、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が減少した。

 LAL事業は売上高が19.1%増の29億62百万円、営業利益が0.9%増の3億30百万円だった。海外子会社ACC社において、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬パイロスマートネクストジェンの新規顧客開拓が順調に進展した。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が24年3月期比10.5%増の400億円、営業利益が9.1倍の39億50百万円、経常利益が2.7倍の45億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が57.8%増の34億50百万円としている。配当予想は24年3月期比4円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。予想配当性向は47.4%となる。

 大幅増益・増配予想としている。国内薬価引き下げの影響、一部の海外医薬品の出荷調整の影響などにより医薬品の販売は減少するが、ロイヤリティー収入の増加や研究開発費の減少が寄与する見込みだ。研究開発費の計画は7.8%減の69億円としている。なお前期の繰延税金資産計上の反動で税金費用が増加する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は地合い悪化の影響で急反落して年初来安値圏に回帰したが、売られ過ぎ感を強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。8月5日の終値は737円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS63円23銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約4.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1324円82銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約419億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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