【編集長の視点】日電子は大幅続落も業績上方修正・増配を手掛かりに突っ込み買い一考余地

 日本電子<6951>(東証プライム)は、前日13日に158円安の5570円と大幅に3営業日続落して引け、25日移動平均線へ下ヒゲを伸ばし下値を確認する動きを続けた。同社株は、今年11月8日の今2025年3月期第2四半期(2024年4月~9月期、2Q)累計決算の開示に合わせて、今3月期通期業績の上方修正と増配を発表した。その2Q累計業績は、10月29日に上方修正され株価は窓を開けて700円超高と急騰したが、今回の通期業績の上方修正幅が、2Q累計通期業績の上方修正幅より小幅にとどまることをイヤ気して利益確定売りの窓埋めが増勢となった。また12日の米国市場で、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が続落し、13日の東京市場でも半導体関連株が下落したことも追い討ちとなった。ただこと業績そのものは、上方修正で通期純利益が前期の過去最高を連続更新し、配当も連続増配となるだけに突っ込み買いも一考余地がある。AI(人工知能)半導体トップのエヌビディが、12日に3日ぶりに急反発したことも、先々サポート材料として意識されよう。

■前期業績も保守的な通期上方修正値を上ぶれ過去最高更新で着地

 同社の今3月期通期業績は、期初予想より売り上げを130億円、営業利益を30億円、経常利益と純利益を10億円それぞれ引き上げ、売り上げ1960億円(前期比12.4%増)、営業利益330億円(同19.9%増)、経常利益315億円(同4.9%増)、純利益235億円(同8.3%増)と見込み、純利益は、前期の過去最高(217億400万円)を連続更新する。円安・ドル高が続いたほか、電子顕微鏡への引き合い増から半導体や電池分野で幅広い需要が続き、産業機器セグメントでは、シングルビームマスク描画装置とスポットビーム型電子ビーム描画装置の受注と売り上げが好調に推移したことなどが要因となった。

 ただこの3月通期業績の上方修正幅は、売り上げは2Q累計業績の上方修正幅と横並びで、利益は25億円~33億円下回って小幅とやや保守的な業績ガイダンスとなっている。前2024年3月期業績も、同様に2Q累計業績の上方修正の直後に通期業績の上方修正を発表し、通期業績の修正幅が小幅にとどまったが、期末に決算を締めた業績発表ではこの上方修正値を上ぶれて着地しており、この再現がなるか今後の業績動向が注目される。なお今2025年3月期の年間配当は、期初予想の88円から92円に増配を予定している。前期配当は、創立75周年記念配当20円を含めて年間102円に増配されており、これを除くと普通配当は連続増配となる。

■直近急騰時に開けた窓埋めを終了から再発進し年初来高値目指す

 株価は、今期業績の連続過去最高予想を歓迎して年初来高値7546円へ急伸、今年8月の全般相場急時には年初来安値4326円へ突っ込んだ。同安値からは今期第1四半期の好調業績や半導体株高などで売られ過ぎを修正し、今期2Q累計業績の上方修正では窓を開けて6096円の高値をつけ、今期通期業績の上方修正ではこの窓埋めの調整を続けている。PERは12.1倍と半導体関連株のなかでも相対的に割り負けており、窓埋めから再発進し直近高値6096円を上抜き年初来高値奪回を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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