【編集長の視点】フマキラーは続落も新型コロナ感染の「第4波」で3期ぶり最高純益更新に見直し余地

 フマキラー<4998>(東2)は、前日14日に22円安の1573円と3営業日続落して引け、直近安値1565円に接近し3月5日につけた年初来安値1522円を窺った。東証2部総合株価指数や日経平均株価が反落し、同社が新工場を建設したミャンマーでの軍事政権による武力行使が拡大し不透明化していることなどからポジション調整の売り物が増勢となった。ただ新型コロナウイルス感染症の新規感染者が拡大し、大阪府では1000人を超え、政府の分科会でも「第4波「」との認識を示しており、同社の除菌剤製品の需要が再増加する展開も有力となり、下値は逆張りも一法となりそうだ。目下集計中の同社の前2021年3月期業績が、除菌剤の好調推移で上方修正され、純利益が3期ぶりに過去最高を更新する見込みであることも見直されそうだ。

■除菌剤は99・9%以上のウイルス除去効果を確認済み

 同社は、新型コロナウイルスへの除去効果のある除菌剤を手指消毒用、衣類用、室内空間用、食品除菌用などと幅広く展開し、昨年4月には広島大学大学院医系科学研究室ウイルス研究室による分析によりウイルスが99.9%以上除去されることを確認するとともに、テレビCMでも積極的に訴求した。このため業績にも大きく寄与、今年2月には昨年8月に初開示した前2021年3月期業績を上方修正した。

 売り上げを45億円、営業利益を8億8000万円、経常利益を8億1000万円、純利益を7億5000万円それぞれ引き上げ、売り上げ490億円(前々期比10.1%増)、営業利益30億8000万円(同72.5%増)、経常利益33億1000万円(同63.7%増)、純利益20億5000万円(同2.66倍)と連続の大幅続伸を見込んだもので、純利益は、2018年3月期の過去最高(17億3500万円)を更新する。続く今2020年3月期業績は、主力製品の殺虫剤の輸出先で昨年11月に稼働を開始したエアゾール工場を展開するミャンマーで軍事クーデターが勃発し不透明感があるものの、国内では気温が高めに推移し、殺虫剤に前期と同様に巣ごもり需要が続き、コロナ禍の「第4波」により除菌剤販売の増加も期待されることから、続伸の可能性がある。なお前期配当は、業績上方修正とともに年間22円(前々期実績20円)に増配された。

■25日線を固めPER12倍の割安修正でリバウンド

 株価は、コロナ・ショック安に直撃された昨年3月の昨年来安値1001円から除菌剤の防疫関連株人気に前々期業績の上方修正も加わって6月の昨年来高値2074円まで買い進まれ、2カ月半で株価倍化となった。同高値後は、四半期の好決算発表のたびに1992円、1726円と上ぶれる場面があり、前期業績の上方修正で年初来高値1752円へ上値を伸ばしたが、25日移動平均線を出没する中段固めが続き、ミャンマーの軍事クーデター勃発・深刻化で年初来安値1522円へ調整、25日線水準までリバウンドした。足元では、年初来安値を再び窺っているが、PERは前期推定ベースで12倍台と割安であり、25日線固めから年初来高値1752円へリバウンド、昨年来高値2075円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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