【調査レポート】がん患者の薬物治療:続けられない現実と背景を探る

■経済的不安が治療継続を阻む要因に

 がん治療の薬物療法は大きな進歩を遂げ、生存率向上に寄与している。しかし、一部の患者が治療を中断・中止してしまう現状が明らかになっている。この背景には、治療法の選択肢や支援体制の整備にもかかわらず、患者が抱える心理的・経済的不安が存在している。クロス・マーケティンググループ<3675>(東証プライム)傘下の株式会社メディリードは、この問題に焦点を当て、患者632名を対象とした調査を実施した。

 この調査は、2024年6月に全国規模で実施された。対象はステージⅠからⅣのがん患者で、有効回答数は632件である。調査は患者の薬物治療継続に影響を与える要因を多角的に分析し、中断経験者や中断を考えたことのある人の心理的特徴、経済的課題、そして情報収集や相談先の実態を明らかにした。

■医療費支援制度の認知不足と情報収集の課題

 調査によれば、薬物治療を中断した経験のある患者は約1割で、4人に1人が治療をやめたいと考えながら継続していることがわかった。中断者は、治療に対する将来展望が描けず、経済的不安を強く感じる傾向にある。また、治療費負担軽減制度の認知や利用が少なく、情報収集や他者への相談も不足している。特に中断者は情報源が限られ、医師以外の相談先を活用していないことが課題として浮かび上がった。

 これらの結果は、経済的不安や情報収集不足が患者の治療継続を妨げていることを示している。公的制度の認知向上や利用促進、患者が相談しやすい環境の整備が必要だ。また、医療関係者や支援団体は患者の心理的負担を軽減し、治療の希望を持ち続けられるような包括的な支援体制を構築することが求められる。株式会社メディリードは、患者支援のための調査と情報提供を今後も継続するとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■銀座の呉服店「むら田」店主・村田あき子の語りをまとめた書籍  KADOKAWA<9468>(東証…
  2. ■長時間立ち仕事や長距離歩行の負担軽減、安全で快適な勤務環境を整備  日本航空(JAL)<9201…
  3. ■「ポケモンフォレスト」と「カヤツリタウン」2エリア構成、冒険とイベントを一体化  よみうりランド…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  2. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  3. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  4. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  5. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…
  6. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る