【編集長の視点】丹青社は株式売出し終了で業績・株主還元策の一段アップを期待

■万博関連受注で上昇機運

 丹青社<9743>(東証プライム)は、前日5日に9円高の896円と6営業日ぶりに小反発して引け、今年1月14日に売られた直近安値879円からの底離れを窺った。同社株は、昨年12月13日に目下集計中の2025年1月期業績の上方修正と増配を発表し、歓迎した株価は、窓を開けて1027円まで急騰し、今年1月7日には株式売出しを発表し、今度は、需給悪化懸念で窓を開けて直近安値879円まで急落したが、この株式売出しの受け渡しを1月22日に終えイベント通過となったことから、上方修正された2025年1月期業績の見直しや次期2026年1月期業績や一段の株主還元策への期待を高めて下げ過ぎ修正の打診買いが再燃した。今年4月13日に開幕する大阪・関西万博関連の受注が、足元の1月期業績や次期1月期業績への業績寄与度を高めることも、フォローの材料視されている。

■上方修正の1月期業績は中期経営計画の目標業績を2年前倒しでオーバー

 目下集計中の2025年1月期業績は、売り上げが90億円、利益が10億円~8億円それぞれ期初予想より引き上げられ売り上げ920億円(前期比13.3%増)、営業利益50億円(同28.8%増)、経常利益51億円(同27.7%増)、純利益36億円(同29.9%増)と連続増収益率を拡大させた。同社は、2027年1月期を最終年度とする中期経営計画を推進しているが、上方修正された1月期業績は、この最終年度の目標業績(売り上げ860億円、営業利益45億円、経常利益46億円、純利益31億円)を2年前倒しでオーバーした。同社では、この中期計画の目標業績の見直しを行っている。

 景気回復に伴い個人消費を喚起する企業の販促投資が積極化し、商業その他施設事業やチェーンストア事業など受注高が大きく伸び、2025年1月期第3四半期(2024年2月~10月期)の商業その他施設事業の受注残高は、関西万博向けの新改装案件の受注も加わって368億9000万円(前年同期比85.0%増)、総受注残高も551億6300万円(同67.2%増)と好調に推移したことが要因となった。配当は、連結配当性向を50%以上とする配当政策に基づき年間40円(前期実績30円)に増配を予定している。なお株式売出しは、取引金融機関が、同社の発行済み株式数の約6%に当たる保有株式を売り出し(売出価格855円)、1月22日に完了した。

■PER11倍、配当利回り4.4%の修正で窓埋めから底上げ展開

 株価は、昨年末、今年年初と上下に大きく変動し、1月期業績の上方修正・増配では窓を開けて1027円まで急騰し、株式売出しでは879円まで窓を開けて急落して売り買いが交錯して900円台出没を続けたが、下値は売出価格855円を前に踏み止まった。PERは11.7倍、配当利回りは4.46%と売られ過ぎを示唆しており、窓埋めの底上げに再発進し、まず昨年12月高値1027円奪回を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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