生成AI後進国からの脱却へ──ソフトバンクが仕掛ける4500億円の大勝負

■個人利用率わずか9%、中国の6分の1以下という現実

 日本のデジタル化の遅れが、生成AI分野でも顕著となっている。総務省の2024年版情報通信白書によると、日本における生成AIの個人利用率はわずか9.1%。中国の56.3%、米国の46.3%と比較して、圧倒的な後れを取っている現状が浮き彫りとなった。

【生成AI利用率の国際比較】

・中国=56.3%
・米国=46.3%
・英国=39.8%
・ドイツ=34.6%
・日本=9.1%

 個人の利用が進まない背景には、「使い方がわからない」「生活に必要ない」という意識が4割を占めている点が特徴的だ。企業における活用も同様の傾向を示し、業務利用率は46.8%にとどまる。米国の84.7%、中国の84.4%と比較すると、その差は歴然としている。

■OpenAIとの提携で国内普及を加速、次世代インフラ整備も本格化

 こうした中、ソフトバンクグループ<9984>(東証プライム)の孫正義CEOはが革新的な動きを見せている。OpenAIとの戦略的提携を通じて企業向けの最先端AI「クリスタル・インテリジェンス」の開発・販売に乗り出し、その導入に向けて年間30億米ドル(約4500億円相当)という巨額投資を決定した。

 さらに注目すべきは、NVIDIA Hopper GPU約6000基による国内最大級のAI計算基盤の整備だ。これは単なるインフラ投資にとどまらず、日本企業が世界レベルのAI開発と応用を行うための重要な基盤となる。

 しかし、こうした取り組みを成功に導くためには、依然として課題が山積している。知識やスキルの向上、導入コストの問題、セキュリティリスクへの対応など、解決すべき問題は多岐にわたる。政府は2025年までに全ての大学生・高専生が初級レベルの知識を身につけることを目標に掲げているが、産業界全体での取り組みが求められている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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