【株式市場特集】金先物価格が2000ドル大台攻防、産金株とリユース株で二刀流投資を狙う

 今週の当コラムでは一工夫を加えることとした。「有事の金買い」関連株に加えて、「有事の金売り」関連株にも目配りをする二刀流スタンスへのアプローチである。

 金先物価格の上昇が、「有事の金売り」を誘い業績の上方修正が続くリユース株への待機である。国内の金小売り価格は、前週末20日に金先物価格の上昇に加え円安・ドル高の為替効果もあって急騰し、1グラム=1万509円と3日連続で最高値を更新した。これに触発されて家計が、家庭内に埋蔵されていた貴金属を買い取り・再販売事業者に持ち込み換金に走ってくることが想定される。家計からすれば、右に左に揺れる減税発言にしびれを切らし、円安・ドル高による物価上昇に痛め付けられる「有事」に対応し、埋蔵貴金属の売却が糊口をしのぐ生活防衛策となるもので、これがリユース株にとっては業績を押し上げ材料となっている。

 賢い投資家と賢い家計は、「資産防衛」と「生活防衛」に向け「有事の金買い」と「有事の金売り」に精を出すことになれば両関連株の底値逆張りの二刀流投資も一考余地があることになる。

■2000ドル攻防の金先物価格上昇で2Q決算発表時の業績動向が焦点

 「有事の金買い」の代表株といえば産金株で、そのリーダーは、世界最高品位の金鉱山である菱刈鉱山で産金活動を続ける住友金属鉱山<5713>(東証プライム)とするのは衆目の一致するところだろう。現に同社は、今年8月の今3月期第1四半期(1Q)決算発表時に今期業績を上方修正した。ところが株価は、歓迎高するどころか逆行安し、10月5日には年初来安値まで売られた。今期業績は上方修正されたもののまだ連続減益予想で、金先物価格も、今年7月末の2000ドル大台から瞬間的に1650ドル台まで突っ込んだあと1800ドル台で推移したことが背景となった。その今期の金先物価格は、期初予想の1トロイオンス=1800ドル(前期実績1804.8ドル)から1857.1ドルへ引き上げたが、1Qは1978.1ドルで着地し、足元ではさらに2000ドル大台攻防となっているのである。11月8日に予定している今期第2四半期(2Q)累計決算発表時の業績動向が注目されることになる。同じ産金株の中外鉱業<1491>(東証スタンダード)、DOWAホールディングス<5714>(東証プライム)も、業績が減益ペースで推移しているが、住友金鉱次第でツレ高する展開も想定される。

 さらに「有事の金買い」の関連株買いは、貴金属リサイクル株にも波及する可能性がある。金先物価格上昇に敏感に反応したのは松田産業<7456>(東証プライム)で、前週末20日に年初来高値追いとなった。今3月期業績は、減益転換予想で第1四半期業績も減益転換着地となったが、配当は連続増配予定でPER10.0倍、PBR0.77倍の割安放置が見直されている。アサカ理研<5724>(東証スタンダード)、AREホールディングス<5857>(東証プライム)とともに足元の年初来安値からの底上げ展開に進もう。

■リユース株では業績の上方修正が相次ぎ増配、株式分割会社も

 「有事の金売り」関連のリユース品の買い取り・販売株は、前記のトレジャリー・ファクトリーのほか、ゲオホールディングス<2681>(東証プライム)、コメ兵ホールディングス<2780>(東証スタンダード)、シュッピン<3179>(東証プライム)、買取王国<3181>(東証スタンダード)、ワットマン<9927>(東証スタンダード)、バリュエンスホールディングス<9270>(東証グロース)などと続く。このうちコメ兵HDが、トレジャリー・ファクトリーと同様に今期業績を2回上方修正し、買取王国が、トレジャリー・ファクトリーと同様に株式分割を実施した。

 またフリマアプリ系のリユース株のメルカリ<4385>(東証プライム)とマーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)も関連株に数えられ、メルカリは、日経平均株価の構成銘柄に新規採用され10月2日から算出開始となっている。金先物価格とは直接関係はないが、生活防衛絡みではフードロス関連株にも出番が予想され、今年6月30日に新規株式上場されたクラダシ<5884>(東証グロース)やオイシックス・ラ・大地<3182>(東証プライム)、関連プラットフォームを展開のエスプール<2471>(東証プライム)やインターネットイニシアティブ<3774>(東証プライム)も要注目となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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