ジェイエスエス、25年3月期増収増益予想、M&Aで健康産業へ領域拡大、スポーツ振興を加速

 ジェイエスエス<6074>(東証スタンダード、名証メイン)は25年2月27日付で名証メイン市場へ上場し、東証スタンダード市場との重複上場となった。スイミングスクールを全国展開し、スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。成長戦略としてM&A戦略を強化する方針を打ち出し、3年以内に売上高100億円・100店舗・時価総額50億円以上を目指すとしている。25年3月期はワカヤマアスレティックスの新規連結も寄与して増収増益予想としている。M&A戦略など積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は反発力の鈍い形だが、一方では大きく下押す動きも見られない。高配当利回りや1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■スイミングスクール運営首位

 スイミングスクールを直営と受託で全国展開している。20年3月に日本テレビホールディングス<9404>と業務資本提携した。日本テレビホールディングスのグループ会社でフィットネスジムを展開するティップネス(スポーツ施設運営企業として業界3位規模)と協業してシナジー創出を推進している。

 24年4月1日現在の事業所数は直営64ヶ所と受託21ヶ所の合計85ヶ所(うちコンパクトプールが直営13ヶ所と受託2ヶ所の合計15ヶ所)である。スイミングスクール特化型企業では首位の事業所数を誇っている。24年5月には、和歌山エリアで5事業所(スイミングスクール等)を展開するワカヤマアスレティックを子会社化した。

 児童発達支援および放課後等デイサービス事業「JSS水夢」については、2事業所目として22年12月にJSS水夢北神戸(仮称、兵庫県神戸市北区、JSS北神戸スイミングスクール内)を開設した。また、静岡県磐田市の福田屋内スポーツセンターおよび磐田温水プールの指定管理者(指定管理期間23年1月11日~28年3月31日)に選定された。

 24年3月期の部門別売上高は、スイミングスクール収入が75億43百万円(うち直営事業収入が63億33百万円、受託事業収入が7億68百万円、企画課外収入が4億40百万円)で、商品売上が5億59百万円、その他の営業収入が28百万円だった。

 24年3月期末の全事業所合計会員数は、子供会員数が23年3月期末比6.0%減の7万4154人、大人会員が2.0%減の9087人、合計が5.6%減の8万3241人だった。コース別会員数は選手・育成コースが4.8%減の4632人、ベビー・キンダーコースが13.3%増の1807人だった。

 スイミングスクール事業の強みには、総合フィットネスクラブとの比較で景気に左右され難いという点がある。入会から四泳法習得まで2~3年の安定した在籍が期待され、ベビーからの入会や選手コースへの進級で長期在籍の可能性も高まる。大人会員は高齢者が中心で、生涯スポーツ化も期待される。同社の強みとしては、国内最多のスイミングスクールを展開する業界唯一の上場企業としての豊富な出店・運営ノウハウの蓄積や、数多くのオリンピック選手やメダリストを輩出している指導力などがある。

■M&A戦略を強化

 成長戦略として新たにM&A戦略を強化する方針を打ち出し、目標として3年以内(28年)に売上高100億円・100店舗・時価総額50億円以上を目指すとしている。M&Aを軸として健康産業全体における領域拡大を図るとともに、地域に根差した青少年の健全育成やスポーツ振興を加速し、事業拡大・収益性確保の実現を目指す方針だ。

 なお22年4月の東京証券取引所の市場再編ではスタンダード市場を選択し、スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画で掲げた経営戦略および重点施策を着実に実施することで、業績の向上および企業価値の向上(時価総額の増大)を図り、スタンダード市場の上場維持基準を充たすよう各種取組を進めるとしている。また25年2月27日付で名証メイン市場へ上場し、東証スタンダード市場との重複上場となった。

■25年3月期はM&Aも寄与して増収増益予想

 25年3月期の連結業績予想(ワカヤマアスレティックを子会社化して当期より連結決算に移行、24年11月14日付で公表)は売上高が84億30百万円、営業利益が4億20百万円、経常利益が4億20百万円、親会社株主帰属当期純利益が2億70百万円としている。前期の非連結業績(売上高81億31百万円、営業利益3億89百万円、経常利益4億06百万円、当期純利益2億18百万円)との比較で増収増益予想としている。

 配当については1月16日付で配当政策変更(累進配当の導入)と25年3月期配当予想上方修正を発表した。25年3月期の配当予想は期末2円50銭上方修正して24年3月期比3円増配の17円50銭(第2四半期末7円50銭、期末10円)とした。予想配当性向は25.1%となる。

 第3四半期累計は売上高が63億91百万円、営業利益が2億89百万円、経常利益が2億87百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2億02百万円だった。前年同期の非連結業績(売上高62億01百万円、営業利益3億50百万円、経常利益3億61百万円、四半期純利益2億36百万円)との比較で見ると、人件費増加や一時的費用発生などで減益だが概ね順調だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が19億56百万円で営業利益が43百万円、第2四半期は売上高が22億52百万円で営業利益が1億66百万円、第3四半期は売上高が21億83百万円で営業利益が80百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。前期の非連結業績との比較で増収増益予想としている。M&A強化戦略など積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は反発力の鈍い形だが、一方では大きく下押す動きも見られない。高配当利回りや1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。3月7日の終値は424円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS69円81銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の17円50銭で算出)は約4.1%、前期実績PBR(前期実績のBPS728円29銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約17億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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