神鋼商事、26年3月期は営業外収支改善により経常・最終増益で増配予想、指標面の割安感も評価材料

 神鋼商事<8075>(東証プライム)は5月8日に25年3月期連結業績を発表した。増収ながら販管費増加などで小幅減益だった。ただし各利益は前回予想を上回って着地した。26年3月期は鋼材価格下落や販管費増加などで営業減益だが、営業外収支改善により経常・最終増益で増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価(25年4月1日付で株式3分割)は地合い悪化の影響を受けて急落する場面があったが、その後は目先的な売りが一巡して急反発の形だ。高配当利回りや低PBRという指標面の割安感も評価材料であり、出直りを期待したい。

■25年3月期減益、26年3月期は経常・最終増益で増配予想

 25年3月期の連結業績は売上高が24年3月期比4.4%増の6171億77百万円、営業利益が0.5%減の132億23百万円、経常利益が8.2%減の117億63百万円、親会社株主帰属当期純利益が6.0%減の85億63百万円だった。配当については24年3月期比15円減配の300円(第2四半期末150円、期末150円)とした。配当性向は30.8%となる。

 売上面はアルミ・銅の伸長等で増収だが、利益面は販管費の増加などで小幅減益だった。ただし前回予想(24年11月7日付で営業利益を上方修正、売上高6230億円、営業利益123億円、経常利益110億円、親会社株主帰属当期純利益81億円)に対して、各利益は小幅に上回って着地した。

 なお営業外損益では、持ち分法投資利益が14億73百万円増加(前期は1億23百万円、当期は15億96百万円)、デリバティブ評価損益が2億67百万円増加(前期は2億94百万円、当期は5億61百万円)、為替差損が8億48百万円増加(前期は9億15百万円、当期は17億63百万円)、貸倒引当金戻入額が11億55百万円減少(前期は11億57百万円、当期は2百万円)、貸倒引当金繰入額が14億72百万円増加(前期は5百万円、当期は14億77百万円)した。特別損益では投資有価証券売却益が21億87百万円増加(前期は6億52百万円、当期は28億39百万円)、投資有価証券売却損11億32百万円を計上、減損損失5億92百万円を計上した。

 セグメント別の経常利益を見ると、金属セグメントの鉄鋼ユニットは15.5%減の56億02百万円だった。売上面は自動車・建築分野の需要減少を鋼板製品の取扱量増加等でカバーして横ばいだったが、利益面は海外子会社の減益が影響して減益だった。アルミ・銅ユニットは89.2%増の30億94百万円だった。取扱量の増加で大幅増益だった。銅製品は自動車用端子コネクターや空調用銅管、アルミ製品は店売りなどが増加した。原料ユニットは88.5%減の1億73百万円だった。大幅減益だった。神戸製鋼所向け主原料の取扱量減少・価格下落、取引先の操業度低下に伴うバイオマス燃料の取扱量減少に加え、海外出資先に対する貸倒引当金計上が影響した。

 機械・溶接セグメントの機械ユニットは1.2%減の22億85百万円だった。小幅減益だった。国内では電池材料等の取扱量が減少したが、非汎用圧縮機のメンテナンスや神戸製鋼所の製鉄所向けの納入が増加した。海外は中国での建機部品輸出などが減少した。溶接ユニットは5.5%減の7億03百万円だった。小幅減益だった。溶接材料の販売単価が上昇したが、取扱量が減少した。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高1523億43百万円、営業利益36億86百万円、経常利益35億78百万円、第2四半期は売上高1543億33百万円、営業利益33億38百万円、経常利益25億31百万円、第3四半期は売上高1583億35百万円、営業利益34億24百万円、経常利益33億05百万円、第4四半期は売上高1521億66百万円、営業利益27億75百万円、経常利益23億49百万円だった。

 26年3月期連結業績予想は売上高が25年3月期比3.2%増の6370億円、営業利益が10.0%減の119億円、経常利益が2.0%増の120億円、親会社株主帰属当期純利益が7.4%増の92億円としている。配当予想は106円(第2四半期末53円、期末53円)としている。25年4月1日付の株式3分割を遡及換算すると、25年3月期の100円(第2四半期末50円、期末50円)に対して6円増配となる。予想配当性向は30.4%である。

 売上面はアルミ・銅ユニットの取扱量増加で増収だが、利益面は鋼材価格の下落、日系自動車生産台数の低迷、販管費の増加などで営業減益予想としている。ただし経常利益と親会社株主帰属当期純利益については営業外収支改善により増益予想、そして増配予想としている。なお想定為替レートは1米ドル=140円としている。米国関税政策の影響については、現時点では予測が困難なため今回の業績予想には織り込んでいない。

 ユニット別の経常利益計画は、金属本部小計が1億円増の90億円(鉄鋼が5億円減の51億円、アルミ・銅が5億円減の26億円、原料が11億円増の13億円)、機械・溶接小計が0億円増の30億円(機械が0億円増の23億円、溶接が0億円減の7億円)、その他が1億円増の0億円としている。

 鉄鋼は鋼材価格の下落や取扱量の減少等により減益、アルミ・銅は銅板・銅管やアルミ加工品が堅調だが中国の需要回復遅れ等により減益、原料はバイオマス燃料の取扱量増加や前期の一時的損失(貸倒引当金計上)の一巡等により増益、機械は圧縮機等の環境投資が次期にズレ込むが建機向けの緩やかな回復でカバーして横ばい、溶接は横ばいの計画としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価(25年4月1日付で株式3分割)は地合い悪化の影響を受けて急落する場面があったが、その後は目先的な売りが一巡して急反発の形だ。高配当利回りや低PBRという指標面の割安感も評価材料であり、出直りを期待したい。5月8日の終値は1938円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS348円00銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の106円で算出)は約5.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3461円36銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約515億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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