マルマエ、25年8月期は大幅増収増益予想、半導体受注回復で大幅増益へ、積極投資とESG経営が奏功

 マルマエ<6264>(東証プライム)は、半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工を展開している。長期ビジョンとして「幅広い分野の総合メーカーを支える部品加工のリーディングカンパニー」を目指し、成長戦略として消耗品拡大による受注安定化、市場シェア拡大に向けた能力増強投資、ESG経営などを推進している。25年8月期は半導体分野を中心とする受注回復により大幅増収増益予想としている。第2四半期累計の進捗率が高水準であり、通期も上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。なお25年8月期第3四半期より連結決算に移行する。株価は地合い悪化の影響を受けて年初来安値を更新する場面があったが、その後は反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工を展開

 半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工、および電子ビーム溶接(EBW)を展開し、半導体・FPD製造装置の真空パーツを作るノウハウ、同業他社に比べて高い生産性・低コスト、急変動する半導体・FPD市場に柔軟に対応できる設備力、ワンストップ受注に対応する多工程生産能力などを強みとしている。25年4月には半導体スパッタリングターゲット用超高純度アルミニウム製品等を製造・販売するKMアルミニウム(以下、KMAC)(福岡県大牟田市)を子会社化した。

 作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月に第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。

 24年8月期の全社受注高は23年8月期比0.6%増の51億97百万円(内訳は半導体分野が13.4%増の37億94百万円、FPD分野が72.6%増の13億14百万円、その他分野が91.7%減の88百万円)だった。半導体分野の受注高を四半期別に見ると第1四半期が6億39百万円、第2四半期が8億49百万円、第3四半期が11億80百万円、第4四半期が11億26百万円で回復基調となっている。

 分野別の売上高は、半導体分野が21.5%減の35億58百万円、FPD分野が30.2%増の10億08百万円、その他分野が97.0%減の41百万円だった。半導体分野は通期ベースで大幅減収だが、在庫調整進展によって消耗品の受注が回復傾向となった。FPD分野はOLED向けが好調に推移した。その他分野は太陽電池製造装置部品の受注遅延が影響した。利益面は売上減少と稼働率低下で大幅減益だった。なお受注損失引当金は46百万円減少した。なお24年8月期の消耗品売上比率は半導体分野が53.2%、FPD分野が13.3%だった。

■消耗品強化で受注安定化を推進

 長期ビジョンとして「幅広い分野の総合メーカーを支える部品加工のリーディングカンパニー」を目指し、中期事業計画では成長戦略として消耗品拡大による受注安定化、市場シェア拡大に向けた能力増強投資、ESG経営などを推進している。

 中期事業計画「Innovation」の目標値(事業環境変化に伴い24年10月に修正)としては、最終年度26年8月期売上高140億円、営業利益36億円、資産ベースROIC20%、負債ベースROIC18%、配当性向35%以上、年間最低配当額20円(最終損益が赤字となる場合は見直し)を掲げている。設備投資額(24年8月期実績5億円)は25年8月期が16億円、26年8月期が18億円の計画としている。なお中計見直しに伴って出水事業所(本社)の新工場計画を26年8月期以降に先送りする。

 売上高の目標は半導体既存顧客60億円、半導体新規顧客42億円、FPD+その他18億円としている。半導体既存顧客では半導体市場拡大や試作強化によるシェア拡大、半導体新規顧客では獲得済み顧客からのPOR獲得増加、FPDでは液晶市場拡大やEBW活用、その他では太陽光発電関連や人工衛星関連の受注拡大を見込む。

 また中長期的な取り組みとしてESG経営を推進する。太陽光・蓄電池導入などによりサプライチェーン全体でのGHG削減に取り組み、2040年までにネットゼロ達成を目指す。さらに人材・ガバナンス面では、人材戦略の進化、次世代経営陣の育成、全社的リスク管理強化などを推進する。

 25年2月には、国際的な環境非営利団体CDPによる2024年度の気候変動に関する調査において、中小企業向け評価(SME)で最高スコアとなる「B」スコア(マネジメントレベル)を取得した。22年度には「D」スコア(情報開示レベル)、そして23年度には「C」スコア(認識レベル)を取得しており、着実なスコアの向上を実現している。

■25年8月期大幅増収増益予想、さらに上振れ余地

 25年8月期の業績(非連結)予想は売上高が前期比60.0%増の76億円、営業利益が10倍の16億円、経常利益が36倍の15億円、そして当期純利益が56倍の10億65百万円としている。なお現時点では非連結業績予想だが、25年4月にKMACを子会社化したため、25年8月期第3四半期より連結決算に移行(KMACの25年4月以降のPLを新規連結)する。配当予想は前期と同額の30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。予想配当性向は35.6%となる。

 第2四半期累計(非連結)は、売上高が前年同期比91.7%増の39億11百万円、営業利益が9億52百万円(前年同期は78百万円の損失)、経常利益が9億44百万円(同1億34百万円の損失)、四半期純利益が6億64百万円(同1億01百万円の損失)だった。

 計画を上回る大幅増収・黒字転換と順調だった。半導体分野を中心に受注・売上が回復傾向を強めたことに加え、変動費比率の低い消耗品の受注増加により材料費と外注費が想定よりも低くとどまったこと、稼働率改善により受注損失引当金が前期末比50百万円減少したことも寄与した。

 分野別の売上高は半導体分野が108.2%増の30億77百万円、FPD分野が40.3%増の6億68百万円、その他分野が141.7%増の48百万円だった。半導体分野は在庫調整進展によって消耗品の受注が拡大し、新規受注も寄与した。FPD分野はOLED向けが好調だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が19億11百万円で営業利益が4億44百万円、第2四半期は売上高が20億円で営業利益が5億08百万円だった。

 通期の業績(非連結)予想は据え置いている。分野別売上高の計画は半導体分野が73.1%増の61億58百万円、FPD分野が21.4%増の12億24百万円、その他分野が5.3倍の2億18百万円としている。事業環境については、半導体分野では在庫調整の進展や新規顧客からの受注品種拡大を見込み、設備拡充と人員増加により新品種受注拡大への対応を急ぐ。FPD分野はOLED関連の高水準の受注が継続する見込みであり、シェア拡大戦略を継続する。

 通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高51%、営業利益60%、経常利益63%、当期純利益62%と高水準であり、通期も上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。

■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上継続保有株主対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)については、毎年8月末日現在で6ヶ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象としてクオカードを贈呈している。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化の影響を受けて年初来安値を更新する場面があったが、その後は反発の動きを強めている。出直りを期待したい。5月19日の終値は1237円、今期予想PER(会社予想のEPS84円16銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約2.4%、前期実績PBR(前期実績のBPS566円10銭で算出)は約2.2倍、そして時価総額は約161億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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